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「カイゼン」ワークショップ ー 在京アフリカ外交団(ADC)と共に [東京]

「カイゼン」ワークショップ ー 在京アフリカ外交団(ADC)と共に [東京]

秋を感じる9月の午後。アフリカの更なる発展を視野に、戦後日本経済の発展を支えた「カイゼン」のワークショップが、国連大学ビルで開催。在京アフリカ外交団(ADC)から、25の大使館より8名の大使を含む30名の外交官が、一堂に会しました。ABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)の学生数名、および関係機関の担当者も聴講者として参加しました。

持続可能な開発目標(SDGsにも掲げられている「包摂的で持続可能な産業化の推進」。「産業化」は、アフリカにおいてもその重要性が強調されており、昨年の国連総会では「3次アフリカのための産業開発の10年(IDDAIII)[2016-2025] 」が採択されています。こうした中、日本が誇る「カイゼン」は、追加投資の投入なく、生産性、品質、コスト面の向上を図る事ができるということで、アフリカの産業化への貢献が期待されます。

開会の挨拶に立ったUNIDO東京事務所の安永裕幸所長は、着任の挨拶と共に、来場者を歓迎。ワークショップが、既存の現地産業の成長を後押しするだけでなく、日本からの直接投資を促す機会となる事を望んでいると語りました。

最初のゲストスピーカーは、「産業開発のためのカイゼン」と題したプレゼンテーションを行った、政策研究大学院大学(GRIPS)、副学長・教授の園部哲史氏。「カイゼン」が、戦後、生産および品質管理へのアプローチとしてアメリカで生まれ、以後日本で開花したものであると説明。その後、こうしたアプローチは、アメリカでは「リマニュファクチャリング(remanufacturing)」、「シックスシグマ(Six Sigma)」に形を変える一方、「カイゼン」はアジアの国々でも広がったとの事。こうしてすでに、過去数十年を経て様々な国で展開されてきた「カイゼン」は、アフリカでは「セカンドムーバーズアドバンテージ」、つまり二番手としての優位性を享受する事で、「カイゼン」をよりアフリカ各国に適した方法で導入する事ができると述べました。

国際協力機構(JICA)産業開発・公共政策部 民間セクターグループ 第二チーム 主任調査役の鈴木桃子氏は、「アフリカにおけるカイゼン」と題したプレゼンテーションで、人を中心としたアプローチでもある「カイゼン」を導入する事で、若い人口が増加しているアフリカにおいて、更なる機会とキャパシティーの創出に繋げる事ができると強調しました。鈴木氏は、アフリカで現在進行中の7つのJICAの「カイゼン」サポート・プログラム(エジプトにおけるプロジェクトは終了済)、また年間60名ほどの人材が、JICAによる「カイゼン」に関連する研修に参加している点についても紹介しました。

具体例としては、エチオピアにおいて、生産性が37.2%向上、55.2%のムダ削減に成功したプロジェクトを紹介。「カイゼン」は、「チームワーク、自立、創造性、そして創意工夫を引き出すもので、経営者および仕事そのものに対する考え方を変える、まさに人を中心としたツールなのです」と述べました。

最後のスピーカーは、日本生産性本部 国際協力部 担当課長の寺西菜緒氏。経済産業省の事業の一環としてJPCが展開している、キャパシティー・ビルディングのプロジェクトを紹介しました。JPCは、同プロジェクトで、現在10カ国が加盟している汎アフリカ生産性協会(Pan African Productivity AssociationPAPA)に向け、生産性および品質向上を目指したカイゼンを含めた日本式経営のノウハウを、現地の企業に対しOJT研修として展開。ケニアを例に、中間経営層へのトレーニングに注力していると紹介しました。

プレゼンテーション終了後の質疑応答では、会場から多くの質問が寄せられ、カイゼンへの関心の高さが伺われました。最後に同ワークショップ閉会の挨拶に立ったのは、ADC団長でもある、エスティファノス・アフォワキ・ハイレ エリトリア駐日大使。アフリカにはビジネスの機会や人材が溢れていると述べた上で、効率性が発展に欠かす事のできない重要な要素である事を強調。そのために、日本の民間企業の参入は不可欠であると述べました。また、同大使は、アフリカには54の国があり、それぞれに歴史と特徴を有する事から、ぜひ日本の企業には、各国に足を踏み入れていただきたいと強調しました。

概 要

日 時:  2017921日(木)
会 場:  国連大学 アネックス・ホール
テーマ: 「カイゼン」ワークショップ 在京アフリカ外交団(ADC)と共に
主 催:  UNIDO東京事務所
言 語:  英語