UNIDO東京事務所は、日本政府の協力を得て「日本からの技術移転を通じたアフリカの産業職業訓練プログラム」を開始しました。このプロジェクトは、アフリカの現地エンジニアと技術者に日本企業の技術に関する知識とスキルを身につけてもらうことで持続可能な産業開発に貢献することを目的としています。
この取り組みの一環として、UNIDO東京事務所が本プロジェクトのパートナーとして採択した荏原製作所が2023年11月、南アフリカから来日した研修生2人に対して、ポンプ技術や販売・普及に関する専門知識(ポンプの選定、見積もり、顧客サポート技術など)を学んでもらう2週間の研修プログラムを実施しました。この研修は、南アフリカのポンプ技術や販売、サービス、メンテナンス業界における現地のエンジニアや営業担当者のスキル開発を支援することを目的としたものです。
2人が日本での研修を通じて適切なポンプを見分ける知識などを習得したことで、帰国後、南アフリカにおける高品質なポンプの普及につなげます。これにより不適切に選定されるポンプや運転停止時間を減らし、同国における水の安定的で安全な供給を確保します。また水ポンプ技術の高度な知識は、灌漑やインフラ整備にも役立ちます。高効率の製品の使用は電力消費量を削減し、地球温暖化・気候変動への対策にも寄与します。
研修生の背景
写真説明:荏原製作所の初代ポンプと研修生のLorraine 氏とPeter氏(左から)
このプログラムに参加したのは、EBARA PUMPS SOUTH AFRICA (PTY) LTD.の従業員2人です。
名前 |
職業 |
Mr. Peter-John JOYNT |
EBARA PUMPS SOUTH AFRICA (PTY) LTD, General Manager |
Ms. Lorraine Jacobeth MATHEWS |
EBARA PUMPS SOUTH AFRICA (PTY) LTD, Internal Sales |
スケジュール
研修期間: 合計10日間(2023年11月27日から2023年12月8日)
研修の成果
(11月27日の開講式の様子。荏原製作所、研修生、南ア大使館シュローダー公使、UNIDO東京事務所職員)
11月27日に開催された、研修初日の開講式とオリエンテーションには、駐日南アフリカ大使館のアナリーズ・シュローダー駐日全権公使、UNIDO東京事務所の足立文緒所長、フェルダ・ゲレゲン次長が参加しました。プロジェクトの意義や、持続可能な配水に関する現状、日本の技術で達成できる課題解決、そしてこの研修に期待する成果について、積極的な議論が交わされました。
翌日から実施されたトレーニングでは、荏原製作所が研修生に自社のポンプ技術に関する知識を提供し、技術計画(ポンプの選定と見積もりなど)やアフターサービス業務(ポンプの分解、組み立て、芯出しなど)を含む販売と普及の技術を伝えました。
- 企業概要: 企業の構造やビジョンについての理解。
- 製品詳細: 汎用ポンプ、産業ポンプおよび大型ポンプに関する詳細な知識。
- ポンプの技術計画: ポンプのモデル選定や見積もりの技術的な計画。
- アフターサービス: ポンプの分解、組み立て、芯出しなどの技術。
- 工場訪問: 製品の製造プロセスや品質管理に関する実地経験。
- ポンプを納入した場所の視察: ポンプやその他荏原製品の納入先での既設状況及び稼働状況把握目的の視察。
これらのトピックに焦点を当て、研修生は持続可能な水の供給に資する知識とスキルを身につけました。本プログラムで得た学びを母国に持ち帰り、同業者や地域社会に知識を広めることで、水の供給の安定性向上に貢献することが期待されています。第2フェーズでは、2024年2月に南アフリカでの活動が予定されており、この研修プログラムの成果が実際の現場でどのように発揮されるかが注目されています。
研修生の声
南アフリカからの研修生たちは、日本での研修プログラムについて次のように語りました。
- プログラム全般について
- Peter: 「非常に良いプログラムだった。学んだことを母国で実践できることを楽しみにしています。日本の製品に関する多様な知識を得ることで、南アフリカの顧客に対しポンプをより効果的に紹介ができるでしょう。」
- オンライントレーニングと対面トレーニングの比較
- Lorraine: 「対面での会話はより効果的で、関係を築くのに役立ちます。」
- プログラムの具体的な内容
- Peter: 「製品の詳細情報は貴重で、南アフリカの現場で活かせるものでした。2週間という短い期間でしたが、効率的に学べました。」
- 日本全体の印象
- Lorraine: 「清潔で、人々の尊重が印象的でした。」
- 南アフリカの同僚への伝えること
- Peter: 「尊重の大切さを伝えたいです。この価値観は私の信念と一致しています。」
- Lorraine: 「知識と情報の重要性を強調し、同僚たちにより効果的な仕事ができるようサポートしたいです。」
- Phase 2について
- Peter: 「第2フェーズでは、実際に南アフリカでポンプの導入を検討する既存顧客を対象に、今回学んだポンプの技術を伝える予定です。効果的な情報と技術の普及が実現できるよう、主要顧客との連携を強化していきます。」
- UNIDO、日本政府、荏原製作所への感謝
- Lorraine: 「日本政府と日本のみなさん、そしてUNIDO東京事務所と荏原製作所には、このプログラムを実現してくれたことに感謝しています。」
本研修プログラムの次の段階として、2024年4月に、南アフリカでの現地研修(フェーズ2)が実施されました。
フェーズ2については、はこちらのページからご覧ください。