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イベントレポート:TICAD8公式サイドイベント「成功する投資促進と技術移転 - 日本からアフリカへ -」

イベントレポート:TICAD8公式サイドイベント「成功する投資促進と技術移転 - 日本からアフリカへ -」

UNIDO東京事務所は2022年8月24日、TICAD8の公式サイドイベントとしてオンラインセミナー「成功する投資促進と技術移転 – 日本からアフリカへ–」を開催しました。セミナーでは2部のパネルセッションが開催され、第1部ではUNIDO東京事務所のアフリカアドバイザーの4名が、第2部ではアフリカ各国において投資促進を担う3名の専門家がそれぞれ登壇し、日本からアフリカへの投資促進と技術移転に関して、これまでのベストプラクティスの紹介とその成功要因、及び日本企業の更なるアフリカ進出について議論しました。

開会挨拶にて、ラシャッド・ブフラル駐日モロッコ王国特命全権大使は、貿易と投資はアフリカ諸国の持続的な発展に不可欠であり、例えばモロッコにおいては、日本企業の進出によって新たな雇用が5万件以上生み出されたこと、結果としてモロッコの社会経済開発に多大な貢献をもたらしたことを紹介しました。続いて、UNIDOアフリカ地域特別代表であるファトゥ・ハイダラ氏は「技術の進歩は経済や環境問題に対する持続的な解決策になる」と強調し、日本からアフリカへの更なる投資と技術移転に対する期待を述べました。

パネルディスカッションの第一部では、4名のアフリカアドバイザーが各国の投資環境や投資機会、及び日本企業の成功事例を紹介した上で、今後アフリカ進出を検討している日本企業へのメッセージを伝えました。はじめに、アルジェリアを担当するリーズ・ケラール氏は、アルジェリアは特にエネルギー、鉄道及び農業の分野で日本企業に魅力的な投資機会を有しており、同氏は日本企業がアルジェリアへ進出する際のリスクを減らす支援ができると強調しました。次に、エチオピア、ブルンジ、ルワンダ、ウガンダを担当するタデッセ・セグニ氏も、日本企業に寄り添った支援を提供すると述べ、アフリカ進出を成功させるためには、1)十分な情報収集と2) スピード感を持った準備、計画、実行が必要であると強調しました。続いて、モザンビークを担当するナンディオ・デュラン氏は、農業部門で同国に進出した日本企業に言及し、アフリカ進出において最も重要なのは適切な現地パートナーを見つけることであると述べました。最後に、セネガルと西アフリカの仏語圏を担当するアイサトゥ・ンジャイ氏は、日本企業2社の事例を紹介し、日本企業がアフリカ諸国へ技術移転を展開する際には、官民それぞれの現地ステークホルダーとの繋がりを持つことが重要であると述べました。

パネルディスカッションの第二部では、過去にUNIDO東京事務所のデレゲートプログラムに参加した3名をパネリストを迎え、アフリカにおける日本企業のビジネス・投資促進の糸口を探りました。モロッコ航空産業フリーゾーン(Midparc)のモハメド・アレフ・ハッサーニ氏は、20年以上に渡り日本からの投資を誘致してきた経験から、日本からの投資を誘致するには「時間と決意」が必要であると述べ、今後は日本の中小企業と現地企業のジョイントベンチャーの設立に注目したいと述べました。続いてコートジボワール投資促進センター(CEPICI)のソランジュ・アミーシャ氏は、コートジボワールは近年世界でもトップレベルのGDP成長率を誇り、国家の成長戦略の一環として外国からの投資を受け入れる環境を整えていることを強調しました。また、TICAD8はさらなる投資誘致に向けてより良いイメージを構築できるいい機会であると期待を述べました。最後にケニア投資庁(KenInvest)のグラチャ・アディ氏は、日本企業がケニアに投資した後のアフターケアに関して紹介しました。同氏は、KenInvestは長期に渡って日本企業が快適にビジネスを行う環境を整える支援ができると強調しました。

閉会挨拶では、経済産業省技術・人材協力課の中山保宏氏が、アフリカは魅力的な成長市場であることを強調した上で、「日本とアフリカは協力し、共に発展していくパートナーとして、今後も強固な関係性を築いていきたい」と述べ、セミナーを締めくくりました。

概要

日 時: 2022年8月24日(水) 17:00-18:30(日本時間)
実施方法: オンライン開催(Zoom Webinar)
主 催:  UNIDO東京事務所
参加費: 無料
言 語:  日・英・仏同時通訳

 

プログラム(敬称略)

17:00 開会挨拶
 駐日モロッコ王国大使館 特命全権大使  ラシャッド・ブフラル大使
 UNIDO グローバルパートナーシップ・対外交渉局長 アフリカ地域特別代表 ファトゥ・ハイダラ
17:10 

パネルセッション第一部 日本企業の投資促進と技術移転のベストプラクティス
 モデレーター:UNIDO東京事務所 フェルダ・ゲレゲン

 パネリスト:
 UNIDO東京事務所 アフリカアドバイザー(アルジェリア) リーズ・ケラール
 UNIDO東京事務所 アフリカアドバイザー(エチオピア) タデッセ・セグニ
 UNIDO東京事務所 アフリカアドバイザー(モザンビーク) ナンディオ・デュラン
 UNIDO東京事務所 アフリカアドバイザー(セネガル) アイサトゥ・ンジャイ

17:55 

パネルセッション第二部 日本からアフリカへの長期的な投資促進
 モデレーター:UNIDO東京事務所 今津 牧

 パネリスト:
 モロッコ航空産業フリーゾーンMidparc 局長 モハメド・アレフ・ハッサーニ
 コートジボワール投資促進センター(CEPICI)総裁 ソランジュ・アミーシャ
 ケニア投資庁(KenInvest)インベスターサービス部長 グラチャ・アディ

18:25  閉会挨拶
 経済産業省 貿易経済協力局 技術・人材協力課 総括補佐 中山 保宏

 

パネルセッション登壇者 略歴

■モロッコ航空産業フリーゾーンMidparc 局長 モハメド・アレフ・ハッサーニ
ハッサーニ氏は、モロッコ投資庁、タンジェ地中海特別庁(TMSA)を経て2011年にタンジェフリーゾーン(TFZ)局長に就任し、2013年からはMidparcの責任者として、航空産業企業へのプロモーションを担当。1997年にUNIDO東京事務所の投資促進プログラムで初めて来日してから20年余にわたり、日本企業へのプロモーション活動に注力[PDF] モロッコは、90年代末と比べ、新たに70社以上の日本企業が進出し、50,000人以上の雇用を創出した。

■コートジボワール投資促進センター(CEPICI)総裁 ソランジュ・アミーシャ
ニューヨークのソシエテジェネラル(SGCIB)のシニアバイスプレジデントを務め、投資銀行業界で20年以上勤務後、2014年からCEPICIの副総裁を務め、2014年にUNIDO東京事務所の招聘により来日。2021年にCEPICI総裁に就任。CEPICIは、2022年にもUNIDO東京事務所のオンラインの投資促進プログラムに参加

■ケニア投資庁(KenInvest)インベスターサービス部長 グラチャ・アディ
1999年よりケニア投資庁(KenInvest)にて調査研究、政策、情報、投資促進業務全般に従事し、2006年、2010年にUNIDO東京事務所の招聘により来日。現在はKenInvestのインベスターサービス部長を務める。KenInvestは、2016年2019年にもUNIDO東京事務所の投資促進プログラムに参加している。

 

■パネルセッション第一部に登壇したUNIDO東京事務所のアフリカアドバイザーの略歴はこちらのページからご覧ください。

 

問合せ先

UNIDO東京事務所(担当:ゲレゲン、今津)
E-mail: itpo.tokyo@unido.org