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UNIDOのグローバルウェブサイトがリニューアルされました

UNIDOのグローバルウェブサイトがリニューアルされました

2017.12.18

2017年11月27日~12月1日に、UNIDO総会が開催されました。ウィーン本部にて隔年で行われる総会は、UNIDOの活動成果の紹介や将来に向けたUNIDOの活動方針に関する議論が行われるとともに、UNIDOに資金を拠出する各国政府とUNIDOの間で意見交換を行う機会となっています。

UNIDOは今回の総会開催に合わせて、グローバルウェブページをリニューアルしました。新しいウェブページにおいては、新しい試みとして、UNIDOの過去のプロジェクトの裨益者のライフストーリーに焦点を当て、UNIDOの活動成果を紹介するページが新設されました。このページに掲載される最初のプロジェクトとして、日本政府の拠出金を活用して実施されたリベリアの内戦避難民の生活再建支援プロジェクトの裨益者のライフストーリーが紹介されています。

https://www.unido.org/stories/new-beginning-after-war-reintegration-liberian-returnees

以下に英語版ホームページの内容を要約して紹介します。

戦後の再出発:リベリア人帰還民の再統合

「私は、祖国に戻ったことは正しい選択だったと思っています。祖国に戻れるということは、気分のいいことです。私が今手にしている機会は、外国で難民として生きていたとしたら、到底手に入らないものです。」

 西アフリカに位置するリベリアは1989年から2003年まで続いた内戦により甚大な被害を受けました。25万人が命を落とし、約75万人が戦火を逃れるために家を失い難民となりました。

内戦により国を追われた人の多くは、長期間に渡り、難民として生活することを余儀なくされ、内戦終結後、難民の一部は自発的にリベリアに帰還しました。その後2012年7月に、リベリアにおいて平和と安定が回復されたとの判断の下、リベリア人難民の(難民)地位終止条項が発効されました。このことは、リベリアから逃れた人々が、庇護国における亡命のための法的要件を満たさない限り、難民として認識されないため、帰還するしかないことを意味しており、内戦終結後も庇護国に残っていた多くの難民がその道を選択しました。

ジョージアもその一人です。彼女は、10年間に及ぶナイジェリアでの難民生活の後、3人の子供とともに2013年にリベリアの首都モンロビアに帰還しました。UNIDOのインタビューに対して、彼女は「難民としてナイジェリアに逃れることは、大変なことでした。自分の祖国ではない国での生活は非常に難しく、私には祖国に戻ることが必要でした。」と言います。

2013年4月、UNIDOは技能研修による雇用創出を通じたリベリア人帰還民のための再統合プログラムを開始しました。日本政府の拠出により、UNIDOは、リベリア人難民帰還及び再定住委員会(LRRRC)及びリベリア帰還民ネットワークとの緊密な協力の下、帰還民の国籍国への再統合を支援するため、起業家育成及び職業・技能研修プログラムを実施しました。

ジョージアはUNIDOの職業・技能研修に応募し、選ばれた300人の帰還民の一人です。このプログラムでは、労働市場にて需要のあった22の職種に関する職業・技能研修を提供しました。その中から、ジョージアはカーテン製作の技能研修に参加し、ミシンの使い方を初めて習い、ビジネスマネジメントの技術も身につけることができました。

彼女は、「研修のおかげで、家族の生活の質は大幅に改善しました。私は一生UNIDO感謝し続けます。」と誇らしげに言っています。リベリアを離れる前、彼女は高校を卒業したところでした。「私には頼るべき稼業も職歴もありませんでしたが、帰還後にUNIDOの支援により、家族を支えるための技術を身につけることができました。本当に感謝しています。」

テレンスは隣国シエラレオネでの難民生活を経て、リベリアに帰還しました。彼は、帰還後、120時間の起業家育成研修を受講した約700名の帰還民の一人です。

「私は、自動車の電装修理、交換、メンテナンス等に関する研修を受け、修了証書をもらいました。それに加え、起業家精神、顧客サービス、効率的な仕事の仕方なども教えてもらいました。」

テレンスはUNIDOの研修を修了すると自活できるようになり、稼いだお金で電子工学に特化したコースを受講することが出来ました。その直後に、彼は起業するという夢を叶え、友人とともに自分のビジネスを始めました。

「UNIDOの研修によって私の人生は変わりました。研修を受ける前、私は兄弟姉妹に依存していましたが、今では個人事業主として自分でいろいろなことができるようになりました。」と彼は付け加えました。

1000人以上の帰還民が、家族を支えて新しい生活を始められるといった希望を持ってUNIDOの研修を修了しました。しかしながら、2014年から2015年にリベリアで発生したエボラ出血熱の流行により、彼らの計画は遅れを来たし、その終結後にやっと多くの帰還民が長期間にわたり生活を支えることの出来る術を見つけることが出来ました。

2017年に発行された報告書では、リベリアで実施されたUNIDOの研修が帰還難民の経済的再統合において重要な役割を果たし、研修によって帰還を決意したリベリア人の雇用及び所得状況が明らかに改善したことを示しています。

本報告書には、「エボラ危機といった外的ショック要因が収束するにつれて、リベリアにおける帰還民の再統合に関し、職業訓練プログラムの有効性の潜在性が顕著になってきている。」と書かれています。

テレンスは結婚し、息子が一人います。彼と彼のビジネスパートナーは毎日彼らの店で、さまざまな電化製品の修理をしています。

ジョージアは彼女の家でカーテンやベッドリネンを作っています。ジョージアの夢は自分の店を開いて、自分で作ったものを陳列し、ビジネスを拡大することです。

テレンスは言います。「私は、祖国に戻ったことは正しい選択だったと思っています。祖国に戻れるということは、気分のいいことです。私が今手にしている機会は、外国で難民として生きていたとしたら、到底手に入らないものです。」

この記事に関する詳細情報は以下まで。
高橋典子(案件担当) N.Takahashi@unido.org
UNIDOウィーン本部
Department of Agri-Business Development,
Rural Entrepreneurship, Job Creation and Human Security Division