UNIDO東京事務所の「日本からの技術移転を通じたアフリカにおける産業職業訓練プログラム」でエチオピアから来日した研修生2人が2024年1月、女性用吸水ショーツ縫製技術を学ぶ研修を終えました。エチオピアでは、多くの女性が経済的な理由などから生理用品を入手できない課題に直面しています。こうした課題の解決や産業人材の育成に貢献することが本プロジェクトの目的で、研修生2人は今後、日本で学んだ技術を自国で普及させる研修を実施します。
今回エチオピアから研修生として来日したのは、首都アディスアベバの非営利団体セラム・チルドレンズ・ヴィレッジで、縫製訓練などを担当している指導員ゲベエ・テショメ・カセン氏とゲザヘン・アスファウ・ムルゲタ氏です。
本プロジェクトでは伊藤忠商事とBe-A Japanが共同で、女性用吸水ショーツの縫製技術に関する研修を実施しました。研修生は布地の切り方・縫い方・機材の使い方などに関する技術に加え、生理用品に適した素材選びや資材の管理方法、製造コストの計算方法などの知識についても学びました。また、インナー製品を製造する工場を訪れたり、女性だけでなく男性にも知って欲しい「生理」についての詳しい講義をBe-A Japanより受けました。
研修最終日には閉講式が開催され、プロジェクト関係者、駐日エチオピア大使館やプロジェクトの資金提供者である経済産業省からも担当者が参加しました。開会の挨拶では、同大使館のエイリーン・セレベ・ビヤドゥグリン三等書記官から、日本政府やUNIDO東京事務所、伊藤忠商事、Be-A Japanに向けた謝辞がありました。
研修を終えたばかりのカセン氏は「この研修で縫製技術に関する理論的な知識を学んだ。エチオピアで今後実施する研修で現地の人たちにこの経験や知識を伝えたい」と語りました。ムルゲタ氏は「多くの知識やスキルを身につけることができた。吸水ショーツはエチオピアの女性にとって非常に重要。将来的にエチオピアの女性が仕事としてこの製品を製造できるようサポートをしたい」と意気込みました。
Be-A Japan代表取締役の髙橋くみ氏は「世界中の約40億人の女性たちが、少なくとも30年以上生理と付き合うことになります。にもかかわらず、日本でもエチオピアでも、未だ『生理』はタブーな話題と耳にする。こうした現状を私たちの吸水用ショーツで変え、このプロジェクトを通して、エチオピアの女性をサポートしたい」と述べました。
伊藤忠商事の山下祥平氏は「エチオピアでは内陸で輸送コストがかかるので、使い捨て商品が普及しにくいという事情がある。ショーツは繰り返し使えて環境負荷も少ないため、同国にフィットした商品。今後エチオピアでの研修に参加した人たちが雇用の機会を得たり、ショーツの普及を通じて社会に貢献したりと、女性のエンパワーメントのきっかけになりたい。その上で、自社のビジネスにもつなげていければ」と今後の展望について語りました。
本プロジェクトでは2024年、研修生2人が指導者となって、日本で縫製技術を学んだ技術をエチオピアの女性を中心とした産業人材100人に向けて研修を実施する予定です。