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[イベントレポート] アフリカビジネスセミナー:新型コロナウイルスによる社会経済への影響、強靭な社会経済作りのためのビジネス機会

[イベントレポート] アフリカビジネスセミナー:新型コロナウイルスによる社会経済への影響、強靭な社会経済作りのためのビジネス機会

 UNIDO東京事務所は、日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)、国際連合開発計画(UNDP)と共催で「Africa Industrialization Day(アフリカ工業化の日)」である11/20(金)に、「アフリカビジネスセミナー:新型コロナウイルスによる社会経済への影響、強靭な社会経済作りのためのビジネス機会」と題したオンラインセミナーを開催しました。

 本セミナーは、毎年1120日の「Africa Industrialization Day」(1989年国連総会において制定)に合わせて開催されたものです。アフリカにおいても新型コロナウイルスのパンデミックによる困難な状況が続く中With/Postコロナにおける強靭な社会経済作りとより良い復興を目指し、新型コロナがもたらした経済への影響とアフリカにおけるビジネス投資機会をテーマとしたオンラインセミナーを開催しました。

 安永UNIDO東京事務所所長が総合司会を務める本セミナーでは、在京アフリカ外交団(ADC)団長であるアフォワキ・ハイレ駐日エリトリア大使及びUNDP総裁補兼アフリカ局長のエザコンワ氏から開会あいさつが行われ、主催機関の連携がアフリカの産業化へ貢献していくことへの期待などが述べられました。

 サコ京都精華大学学長がモデレーターを務める第一部では、まずマクロの視点から、AfroChampionsよりAdzogenu氏、南部アフリカ市場共同体のMavubi氏、日本・マダガスカル経済同友会のAndrianainarivelo会長より、COVID-19からの経済・社会復興のための取り組み及び、政府・経済団体として注力または注目する分野の紹介とビジネス投資の機会に焦点をあてた講演が行われました。
 パネルディスカッションではこれを受け、アジア経済研究所の平野氏より、日本の貿易・投資の多角化、特に投資収益率が高いアフリカへの投資の必要性がまず強調されました。続いて、JICAの加藤氏とUNDPのGregoire氏は、COVID-19に対する各機関の取り組みを紹介したうえで、デジタルトランスフォーメーション、ガバナンスや人材育成の強化、ファイナンスへのアクセスの改善をしていかなくてはいけないと述べ、それらを達成するには投資やパートナーシップが必要不可欠であるとしました。UNIDOのDjemba氏はCOVID-19がアフリカのインフォーマルセクターに生産力の低下などをもたらしている点について触れ、それに対するUNIDOのイニチアティブを紹介しました。

 続く第二部では、JICAスタートアップ・エコシステム構築専門家である不破氏のモデレートにより、ミクロの視点からCOVID-19より生まれたビジネス・チャンスの紹介や今後の展望について議論が行われました。初めにアフリカのスタートアップ企業として、アフリカ最大のEコマースJUMIAののMugume氏とナイジェリアの偽薬判別を行うRxallのAlonge氏アフリカで新たなビジネスに挑戦中の日本企業として、農村部に小電力とICTインフラを届けるTUMIQUI JAPONの佐藤氏、ドローン事業を行うテラドローンの野口氏が登壇し、それぞれのビジネス及びコロナ禍の取り組みを紹介しました。
 パネルディスカッションでは、アフリカ企業が日本企業に期待する点や日本企業のアフリカ進出の遅れについて、企業の代表者や各主催機関によって述べられました。
UNDPのLaurence-Chounoune氏はアフリカの若い人口や多様性のある市場の魅力に触れる一方、大陸内で西アフリカが取り残されている現状を紹介しつつ、アフリカで存在感を持つ米仏中に比べて遅れをとっている日本企業へのメッセージとして、今までと違う視点で、コロナ禍で生まれたビジネスチャンスをこれらの国への投資機会として捉えてほしいと訴えました。これを受け、JETROの窪田理事は70年代には日本の輸出総額においてアフリカが10%を占めていた点について触れ、政治状況の不安定化によるアフリカ離れののち起こった、資源価格の上昇やモバイルマネー・Eコマースの拡大の流れに日本企業がついていけていないと指摘しました。UNIDOの安永東京事務所所長は、アフリカからの留学生を活用することにより、日本企業の言語の障壁及びアフリカへの意識・地理的な遠さを克服できると述べました。最後に各主催機関による日本企業へのアフリカ進出支援のスキームが紹介され、牧野氏からはJICAを代表して、スタートアップエコシステムの構築プロジェクトなどについての紹介がありました。

 潤沢な資源・再生可能エネルギー及び費用対効果の高い人材を有するアフリカは、コロナ禍においても外からの投資を活かしつつ、内からも産業化が持続していくであろうという、在京アフリカ外交団貿易・投資委員長であるブフラル駐日モロッコ王国大使の力強いメッセージによって、本セミナーは締めくくられました。

 また、11/20-12/4には、同プラットフォームにおいて、アフリカ11ヵ国から参加する有力企業約130社とのオンラインB2Bも行われました(UNIDO東京事務所主催)。オンライン交流・商談会について詳細はこちらをご覧ください。

JUMIAののMugume氏の講演資料は追って掲載いたします。

概 要

日 時: 2020年11月20日(金) 16:00~19:00
場 所: オンライン(EventHubを使用)
共 催:  UNIDO東京事務所、国際連合開発計画(UNDP)
日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)
言 語: 日・英・仏同時通訳
参加費: 無料

 

プログラム(敬称略)

◇開会の挨拶:
 エスティファノス・アフォワキ・ハイレ駐日エリトリア大使
(在京アフリカ外交団(ADC)団長)
 アフナ・エザコンワ氏(UNDP総裁補兼アフリカ局長)

◇第一部:COVID-19からの復興:ビジネス投資の機会 (16:00-17:30)
スピーカー
 Dr. Edem Adzogenu(
AfroChampions創設者)
 (アフリカの民間セクターの発展と投資促進を提唱し支援する官民のリーダーで構成されるNPO法人)
 Ms. Providence Mavubi(南部アフリカ市場共同体(COMESA)産業・農業部長
 (1994年に発足された、東南部アフリカ諸国を中心に21か国が加盟する地域機関)
 Ms. Hasimboahangy Andrianainarivelo日本・マダガスカル経済同友会 会長)
モデレーター
 Dr. Oussouby Sacko(京都精華大学学長)
コメンテーター
 JETRO : 平野克己氏(アジア経済研究所上席主任調査研究員)
 JICA    : 加藤隆一氏(上級審議役(アフリカ担当))
 UNDP   : Mr. Luc Gregoire(ギニア常駐代表)
 UNIDO : Mr. Victor Djemba(アフリカ部長)

◇第二部:COVID-19で生まれたビジネス・チャンス (17:35-19:00)
スピーカー
 Mr. Timothy Mugume(JUMIA Uganda カントリーマネージャー)
 (アフリカのEコマースの最大手JUMIAのウガンダ法人)
 Mr. Adebayo AlongeRxall CEO)
 (AIを使った偽薬の検査機器・調剤のマーケットプレイスを行っているナイジェリアのスタートアップ)
 佐藤弘一氏TUMIQUI JAPON (Senegal) 代表)
 (株式会社シュークルキューブジャポン、セネガル進出子会社)
 野口周平氏テラドローン株式会社 海外事業部)
モデレーター
 不破直伸氏(JICAスタートアップ・エコシステム構築専門家)
コメンテーター
 JETRO  :窪田修氏(理事)
 JICA    :牧野耕司氏(経済開発部長)
 UNDP  :Dr. Elsie Laurence-Chounoune(赤道ギニア常駐代表) 
 UNIDO:安永裕幸東京投資・技術移転促進事務所 所長 )

◇閉会の挨拶
 ラシャッド・ブフラル駐日モロッコ王国大使(在京アフリカ外交団(ADC)貿易・投資委員長)

 

お問い合わせ

UNIDO東京事務所(担当:村上、小野﨑)
E-mail: itpo.tokyo@unido.org
※在宅勤務のため、お問い合わせはメールでお願い致します。

 

 

  • UNIDO東京事務所所長 安永裕幸

  • エスティファノス・アフォワキ・ハイレ駐日エリトリア大使(在京アフリカ外交団 団長)

  • アフナ・エザコンワ氏(UNDP総裁補兼アフリカ局長)

  • 第一部

  • 第二部

  • ラシャッド・ブフラル駐日モロッコ王国大使(在京アフリカ外交団 貿易・投資委員長)