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第68回

第68回

 いよいよ年末です。COVID-19の第3波も未だ終息しませんから、混雑する初詣等へは出かけにくいですね。田舎のご実家への帰省もご遠慮される方が多いと思います。私は音楽の専門家でも啓蒙家でも何でもないですが、今回は、クラシック音楽の中からちょっと不真面目な視点で何曲かご紹介します。年末年始の退屈しのぎにどうぞ。

 まずは「演歌なクラシック」。実はこの手のは結構多いんです。中でも私が一番「演歌魂」を感じる曲は、ドボルザークの『スラヴ舞曲第10番ホ短調』ですね。ドボルザークという人は希代のメロディメーカーで、この曲にも色々な編成の編曲がありますが、やはり弦が咽び泣く管弦楽編成がベスト。バックに、冬の日本海の打ち寄せる波の音とかを入れながら聴きたい。是非ともド演歌な歌詞を付けて石川さゆりに歌って欲しいものです。次が意外なことに、普段は上品なメロディーしか書かないモーツァルトです。まあ『ヴァイオリンとヴィオラと管弦楽のための協奏交響曲』の第2楽章を聴いて下さい。これが演歌でなくて何だ! とは言え、石川さゆりや都はるみの歌では違和感が・・・。昭和歌謡ファンとしては、独奏ヴァイオリンのパートを(全盛期の)小柳ルミ子に、独奏ヴィオラのパートを(生前の)テレサ・テンに歌って欲しい。ちあきなおみと藤圭子では、ちとやり過ぎか?

 次は「ロックなクラシック」。これは、20世紀の音楽には沢山あるのですね。代表曲が、プロコフィエフの『ピアノソナタ第7番第3楽章 Precipitato』。この曲、実は7拍子でできているのですが、実にカッコいい。ネット画像で見た限りは、Martha Argerichの演奏が一番爆裂的で疾走感溢れてます。ただ、こういう曲は他にも沢山あって、例えばアルゼンチンの作曲家 Ginastera(ヒナステラ)のピアノソナタは、第2番、第3番ともにこの路線。更に、これは一部のクラシックファンには良く知られているのですが、Hindemith(ヒンデミット)の『無伴奏ヴィオラソナタ(作品25-1)第4楽章』が凄い。何たって、曲の冒頭には「激しく、音の美しさ等はどうでも良い」というロックな指示がなされています。わずか2分程度ですが、叩きつけるようなリズム、ゴシゴシ音を出すボウイング。中毒性のある音楽です。無伴奏の独奏曲ですが、これを何十人も寄ってたかって演奏するのを聴いてみたい。プロレスで言えば、スタン・ハンセンvsアンドレ・ザ・ジャイアント(@田園コロシアム)の伝説の一戦的な興奮をもたらすこと間違いありません。思わず上半身裸になりそう。

 最後に「笑えるクラシック」。これも色々あるのですが、無条件に笑えるのが、アメリカの作曲家 Charles Ives(アイヴス)の『ヴァイオリン・ソナタ第4 “Children’s Day” 3楽章』です。聴いていただくと分かるのですが、この楽章のメロディーは誰でも知っている「たんたんたぬきの〇ン〇マは~」なんですねえ。しかもこのアイヴスという人、本業は保険屋で音楽は独学。ヘンテコな不協和音を脈絡なく繰り出して来ると言う特殊な芸風。この楽章で何度か出てくる「風に吹かれて〇-ラ〇ラ~」の旋律の伴奏のピアノの和音がかなり変。わざと間違っているようにも聞こえる。こいつ頭おかしいやろ。

 クラシックの名曲・珍曲・駄曲の中から貴方の「この1曲」を探索してみてください。