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第62回

第62回

 UNIDOは、開発途上国・新興国の産業開発をミッションとしています。今年の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックな状況を受け、何をやったのか?とよく問われます。日頃私達が力を入れている「日本企業の技術で世界の課題を解決する」という方向で貢献したいと考えていました。

 本年4月の日本政府の第一次補正予算で当方にも約4億円の予算(「開発途上国の感染症予防に向けたSTePP(*)技術の実証・移転による海外日本企業支援事業」)を付けていただき、5月にSTePP企業を対象として公募を行い、6月に外部専門家を交えた審査を経て7月中旬に当方としての採択案を決定し、ウィーンの本部との連絡・協議を経て10月末に正式に各企業と契約内容を確定することができました。

(注)STePPSustainable Technology Promotion Platform(サステナブル技術普及プラットフォーム)。開発途上国・新興国の抱える「環境」「エネルギー」「アグリビジネス」「保健衛生」の4分野での課題解決に貢献することが可能と思われる、日本企業の技術・製品を紹介するオンライン・データベース。現時点で99社・114技術を登録。(http://www.unido.or.jp/activities/technology_transfer/technology_db

 詳細は、1111日(水)の当方プレスリリースに示されておりますので、詳しくはそちらをご覧ください(http://www.unido.or.jp/news/9579)。13件のプロジェクトが採択されておりますが、ご覧いただければお分かりのように、いわゆる中小企業からの提案が大部分を占めております。内容としては、消毒液の生産、病院の抗菌塗装、医療検査設備、飲料水や生活用水のための浄水設備、生活排水処理、医療廃棄物の焼却炉等を含む幅広いものとなっております。また、技術実証・技術移転の対象国も、ベトナム、ケニア、ウガンダ、インド、セネガル、マダガスカル、ナイジェリア、インドネシア、モロッコ、ネパール、モンゴル、ミャンマーと12ヵ国に及んでおり、比較的短い期間の中で多彩な提案をいただけましたので、バランスの点でも良いラインナップとなったのではないかと考えています。 

 が、実は、私としては、本当の仕事はここからだと考えています。短い予算執行期間(補正予算ですので原則1年間)の中で、装置・設備の製造、船積み、現地での実証、そして技術移転という慌ただしい事業の流れになります。これだけでも大変ですが、加えて、役人時代から往々にして見聞してきた「途上国での事業は、国の予算が切れたらハイおしまい」という顛末を回避すべく、予算終了後の事業化(自立化)が極力可能となるような案件を採択しましたし、各企業とは、紳士協定で事業終了後も5年間は事業の報告を頂くことを約束いただきました。また、技術協力の現場の方々からは、よく「報告書作成が大変」(役人用語では「馬に喰わすような」と表現することが多い)と伺っておりましたので、それを極力軽減し、その代わりに「現場・現物の写真を沢山撮っておいて下さい」とお願いしました。更には、これは我々も一緒に汗をかかないといけないのですが、「技術を普及するための制度的枠組み」を技術移転先の政府に作ってもらうこと(一番難しい!!)をやらねばなりません。これがどこまで、どういう風にできるか、がこの事業の真価に繋がると考えています。