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第58回

第58回

 前回、ノーベル賞の話を書きましたが、その日の夕刻、国連機関の一つである世界食糧計画(WFP: World Food Programme)が今年のノーベル平和賞に選ばれました。つい、長年の癖で科学3賞の発表が終わると気が緩んでしまい、ノーケアでした。

 国連及びその関連機関でノーベル平和賞を受賞したのは12回目だということですが、いずれにせよ、昨年だけでも世界の88の国と地域の1億人近くに対して、緊急食糧支援や栄養改善の取組みを行ったそうです。紛争当事国の現場等では、おそらく、職員の安全の確保等も大変だと思います。改めて敬意を表する次第です。

 ところで食料と言えば、その土地の自然環境や食文化を反映して、バラエティに富んだ様々な料理が目につきます。私の乏しい経験から、幾つか例を挙げてみましょう。例えばエチオピア(主に北部)での主食にインジェラというものがあります。これは、テフという穀物を発酵させて作った蒸しパンのようなもので、色は灰色、くるくると巻いて供されるので口の悪い人は「〇〇みたいだ」等と失礼な表現をしますが、ちょっと酸味があって、エチオピア料理独特のシチューを付けて食べると美味い! また、アフリカの西部・中央部で広く食べられている主食にフッフー(fufu)というものがあります。トウモロコシやイモ類の粉をお湯で練って餅状にしたもので、柔らかく、上品な味がします。私は、以前仕事で訪問したコンゴ民主共和国の、ある方のご自宅でいただいたものが印象に残っています。また、南米でも、私が資源開発の仕事をしていた頃に7度訪問したボリビアでは、キヌアという穀物が栄養価が高く、また乾燥にも強いので「21世紀の穀物」と呼ばれていると聞きました。スープ等に入ったものを食べましたが、確かに美味しかった。日本でも一部で売られており、人気があるようです。

 最近、『幻のアフリカ納豆を追え!』(新潮社・高野秀行著)という本を買いました。著者はノンフィクション作家で、前作の『謎のアジア納豆』に続いて、ナイジェリアのダワダワと呼ばれるパルキア豆を発酵させた食品を始めとするアフリカ各国の納豆状の食品を追い求めて旅をしています。色々な所に似たものがあるようで、セネガルでは「ネテトウ」と呼ばれるとか・・・。名前までそっくりだ。

 納豆と言えば、プロレスファンにとって忘れがたいのが、1976年に行われた、アントニオ猪木とミュンヘン五輪(1972)柔道重量級・無差別級の2階級制覇の「赤鬼」ウィレム・ルスカの異種格闘技戦です。試合も屈指の名勝負だったと思いますが、何といっても印象に残るのが、記者会見の席上、ルスカがエダムチーズを持ち込んで「俺はオランダのチーズを喰って強くなった」とカマしたところ、猪木がすかさず「俺は日本の納豆を喰って強くなった」と返し、これを見た水戸納豆組合(?)が新日本プロレスに一年分の納豆を送ってきた、というエピソードです。私は九州人ですので、それまで納豆を食べたことがありませんでしたが、この記者会見を見て、母親に納豆を買ってきてもらい、早速食しました。最初は凄く抵抗感がありましたが、今は大好きです。