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第47回

第47回

 梅雨がなかなか明けません。昨年は拙宅のシマトネリコの木に群がるように来たカブトムシも、まだ1匹しか見ていません。そもそもこれだけ大雨・長雨だと災害も多発するし、不安になることも多いですね。

 日本語は「雨」を表す言葉が極めて多い言葉だと思います。「驟雨」「村雨」「霧雨」「時雨」「小糠雨」「緑雨」「五月雨」「夕立」「狐の嫁入り」「氷雨」・・・。ある本によれば数百種類もの言葉があるようです。(「ゲリラ豪雨」等というのも最近生まれた言葉ですが、さすがにこれは緊張感漂うものではありますが、情緒どころではありませんね。)欧州ではベルギーのブラッセル等は大西洋岸で雨が多いですが、ここまで多様な語彙は無い(だろう)と思います。

 雨は一度に多量に降ることで災害ももたらしますが、雨がなければ農作物も育ちませんし、潤沢な飲料水・生活用水・工業用水も得られません。そういう意味で日本語の「雨」に関する語彙の豊かさは我々の生活や感性にいかに雨が身近な存在か、ということを表しているのだろうと思います。

 雨を描いた絵、としてすぐ思い出すのが歌川広重の『東海道五十三次』の中の「庄野・白雨」です。斜めの細い直線がザザッと書いてあるだけなのに、本当に雨っぽい。そういえばルノワールに『雨傘』という絵がありますが(多分、結構有名)、傘は雨傘だが、あれれ、全然風景は雨っぽくない。同じ印象派でも、カイユボットの『パリの街角、雨』の方が石畳が濡れているのを描いてて、ずっと雨らしくていいなあ。

 雨の映画、となると『雨に唄えば』もあるけれど、一番印象に残っているのは『シェルブールの雨傘』ですね。これ、オープニングに上から見た雨傘が沢山出てきて、それが凄く印象的でした。邦画にもいくらでも雨のシーンは有りそうですが、何だか今すぐ出てこない・・・最近記憶力がすごく低下してるからかなあ?

 雨の音楽、これは沢山出てきますが、クラシックで私が一番好きなのは、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番『雨の歌』。実はこの曲、そんなに雨っぽくない。ジメジメ、ウダウダしている曲の多いブラームスの中では寧ろ爽やか系です。ただ、この曲、第3楽章に歌曲『雨の歌』の旋律を使ってるからこう呼ばれるんですね。二番目がジャズ・スタンダードになっている『Here’s That Rainy Day』。ビル・エヴァンスの『Alone』という音盤に入っているのがとにかく素晴らしい。ただ、これ美しすぎて、間違って朝聴いたりすると仕事に行けなくなりますので注意しましょう。でも私がコッソリ一番良く聴いているのは、中島みゆき作詞・作曲で小柳ルミ子が歌う『雨・・・』ですね、へへへ。この「暗さ」がたまらん! ああ懐かしき昭和歌謡。