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第46回

第46回

 皆さんお元気でしょうか? 再び新型コロナの感染者が増加して情勢が不透明感を増していますが、今年も半分を過ぎ、いつまでも仕事に制約がある状況では大変に困るのも事実です。私は現在、非常勤講師としてある大学で1年生を相手に環境論を講義しているのですが、学生のレポートを採点しながら色々な発見があったのでそれについてお話ししようと思います。

 学生にとって身近な環境問題は、第一にプラスチック、第二に地球温暖化です。私の講義はその2つと「経済発展・工業開発と環境問題」を主なテーマにして色々な事例を扱っているのですが、今の若者(と、一括りにするのはオジサンの悪い癖か)の考え方は、大変興味深いものがあります。

 プラスチック問題については、以前ここで触れましたので、今回は地球温暖化の問題とそれに対する学生達の反応について触れましょう。

 まずIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)や気象庁等のデータを紹介した上で、様々な再生可能エネルギーや省エネ技術について一通り教えました。3か月前まで高校生だった学生は、皆「電気自動車は環境に良い」ということを異口同音に言います。すかさず「その電気はどこから来るの?」とツッコミを入れて、日本の電源構成や火力発電のシェア、well-to-wheelの電気自動車のエネルギー効率等について少し詳しく話すと驚いています。また、更にはプラスチック廃棄物がCO2発生源であるかのようなトンデモ学説をレポートで披露する学生もいて、「プラスチックは分解しないから海洋投棄されてこれだけ大きな問題になってるんだよ」と教える羽目になる、という訳です。このままでは将来の日本はどうなるのか、という訳で結構苦労もしている状況です。

 グレタ・トゥンベリさんの国連気候行動サミットでの演説も全文読ませてみました。驚いたことに相当数の学生が、既に高校生時代にこの演説を読んでいるんですね。グレタさんの演説に対する彼ら彼女らの反応は、私等からすれば非常に健全で、「過激な表現や、時として極端に走って終末論的な見方を示すのは、理解できにくい部分もあるけれど、何より多くの若者の共感と行動を喚起したことで、大きな存在感を示している」という評価が大体の共通見解でした。勿論、大学の講義ですから、私からも「環境と経済の関係」や「技術進歩の役割」についてはもう少し入念かつ多角的な見方がなされる必要性があるという指摘があることや具体的事例等について言及しました。同じ感想を持った学生も結構いた様です。

 私は1962年生まれですから、ちょっと遅れた世代ではあるけれど、基本的に「若者は怒る権利がある」と考えています。「将来世代と現世代の間での有限資源の最適配分」の問題は、SDGsのいうサステナビリティのど真ん中の課題です。結構手間のかかる(英語のレポートを出させると「あちゃ~」というのに遭遇しますが)講義ですが、若い世代の考え方を知るという意味では、大変有意義な仕事でもあります。