このページをシェアする

第44回

第44回

 前々回の「自分の人生に影響を与えた10冊の本」、あまり反響は無かったのですが、まあ、不評という訳でも無いだろうと勝手に解釈して、続編の残り7冊について書くことにしました。

 私の「10冊」には以前この「ひとりごと(第19回)」でご紹介した坂口安吾の『二流の人』以外に、堂々たる「文学」が殆どありません。ここに『カラマーゾフの兄弟』とかを自信をもって挙げることのできるストロングスタイルの人が羨ましい。中学生時代に夏目漱石の『三四郎』とか読んだ気がしますが、帝国大学に通う野々宮さんが「光線の圧力の試験」をしていたという、本筋とは全く関係ないであろう detail しか印象に残っておらず、このダラダラした小説が一体何について書いているのかさっぱり理解できず仕舞いでした。

 坂口安吾以外だと松本清張の短篇『⑤腹中の敵』ですかねえ。信長配下の武将の中で大物な割にはイマイチ存在感の薄い丹羽長秀が、後輩・秀吉の天下取りに心ならずも(?)加担していく心中を描いた傑作と思います。余談ですが、天下取りと言えば私の歴史観を形成したのが、昭和48年放映のNHK大河ドラマ『国盗り物語』です。キャストが凄い。斎藤道三=平幹二朗、織田信長=高橋英樹、木下藤吉郎=火野正平、明智光秀=近藤正臣、徳川家康=寺尾聡、濃姫=松坂慶子、、、ですよ。だからどうも最近の大河ドラマは・・・。おっと、司馬遼太郎の原作も勿論いいですが。

 文学がイマイチな代わり、SFはかなり読みました。その中でも最も傑作だと思えるのは、筒井康隆の『宇宙衛生博覧会』という短篇集(衛、覧、会はそれぞれ旧字体)ですね。「蟹甲癬」「こぶ天才」「関節話法」「顔面崩壊」・・・等々といったボルテージの高い傑作が並びます。電車の中で読むのは危険ですのでお勧めしません。まあ、筒井康隆先生も今や文豪らしく、当時の「全力で疾走するポップ」感がどうも失われたような感じがするのは少し残念です。

 SFの体裁をしていないが、素晴らしいと思えるのはシュテュンプケという架空の著者が書いた『鼻行類』ですね。これ、大学生になってから知りましたが、要はハイアイアイ群島という架空の島で発見された、鼻で歩いたり飛んだりする奇妙な動物に関する記録(?)というか動物学のパロディで挿絵がまた素晴らしい。どうでもいいですが、私は地球空洞説やUFO、地底文明等に関する怪しげな本も中学生時代から大好きです。成長してない・・・というか。

 仕事(というか、研究)の本が2冊。青木昌彦・安藤晴彦編著の『⑧モジュール化』と、アッターバックの『⑨イノベーション・ダイナミクス(現題は、Mastering the Dynamics of Innovation)』ですが、これらはここで話をしても全然面白くないでしょうから、また別の機会に譲るとして、最後の一冊は何だろう? ここは赤瀬川原平の『超芸術トマソン』『トマソン大図鑑(無の巻)』『トマソン大図鑑(空の巻)』の3部作かなあ? う~む、澁澤龍彦もなかなか捨て難いのだが一冊となると難しい、、、。いや、実はりぼんマスコットコミックスの田渕由美子先生『林檎ものがたり』かも、と悩ましいのであります。決定打に欠けるので、もう少し考えるしか無さそうですね。