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第32回

第32回

 仕事の話が続いたので、今回は少しリラックスした話題にしましょう。

 私は、いつも途上国に出張しまくっているわけではありません。国内での仕事も相当にありますので。ですが、飛行機の中で過ごす時間が結構長いのも事実です。日本のエアラインに乗っている時には大体落語を聴いているのですが、アフリカや中南米は直行便が殆どありませんので、寝てるか、音楽を聴いてるか、ということになります。

 私は、実は、最近改めて昭和歌謡に傾倒しているのですが、高校時代はクラシックばかりを聴いていました。当時は、ブラームスの室内楽が一番のお気に入り(ほんと、爺臭い高校生だね!)。今でも、弦楽四重奏曲第2番とか、ヴァイオリンソナタ第1番、クラリネット・チェロ・ピアノのための三重奏曲とかが愛聴曲です。まあ色々な本を見ると、ブラームスはベートーヴェンの音楽を継がんとしていたらしいですが、「苦悩の中から歓喜に至る(これもステレオタイプですが、“燃える闘魂”や“ブレーキの壊れたダンプカー”とかと大体同じで、マクロに見れば当たっていると思えます)」ベートーヴェン流というよりも、寧ろ、ノスタルジックで優柔不断なロマンティシズムにブラームスの神髄はあったのだろうと思っています。恩師シューマンの妻クララと只ならぬ関係にあったことも彼のウダウダした音楽に如実に表れているように思えます。(なお、このネタで回文作りました。「まっ昼間、ブラームス進むラブ、マル秘妻」。こりゃ失礼!)。20代前半の頃は、20世紀音楽をやたらめったら聴きまくっていたのですが、今の嗜好は、これも小編成の室内楽中心ですが、バルトークの弦楽四重奏曲第4番、ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲、ドビュッシーのフルート・ハープ・ヴィオラのためのソナタ、メシアンの『世の終わりのための四重奏曲』といった、ソコソコ穏健路線に落ち着いてきました。先日、飛行機の中で「長いこと聴いとらんな」と思い、シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲や弦楽四重奏曲を聴いていましたが、「カッコいい(瞬間もある)が、何十分も聴くと、どっと疲れる」というのが情けない感想。音楽聴くにも集中力と体力が要りますな~。

 何だか昔よりも、無駄やハッタリの無い音楽、例えば、バッハやモーツァルトが好きになってきました。逆に、例えば、リストやR・シュトラウスはゴージャスでカッコいいけど、大げさでスチャラカな部分も多いし、チャイコフスキーは「カネ払って聴きに来る客のことを考えて確実にウケるように作る」という意味でプロ根性を感じますが、ゲップが出そう。ベートーヴェンも「運命」「皇帝」「熱情」といったストロングスタイル系の副題が付いている超有名曲よりは、初期の弦楽四重奏曲(作品16)等が心に沁みます。妻は心配して「あなた、もうすぐ死ぬんじゃない?」等と聞いてきますが・・・(寧ろ期待しているのか?)。

 が、本当は、私が人生の中心と考えている音楽はジャズです。ジャズに狂ってはや43年余。既に脳髄の芯まで侵食され修復不能ですが、そのうち、ジャズの話も書きましょう。