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第143回

第143回

 今回がUNIDO東京事務所長としての最後の「ひとりごと」です。先週、退任の弁をお送りした後、かなりの読者の皆様から「ウィーンでも続けるのか?」という御指摘を頂戴しました。何らかの形で、お便り(与太話?)をお届けすることができればと考えています。

 ところで、8月末にはTICAD8がチュニスで開催されますが、今一つ気運が盛り上がらないのが少し気になります。3年前のTICAD7の際には、5月のGWには私も現地に出かけ、会場ホテルのエレベーターの乗降に必要な時間をストップウォッチ片手に測ったりしてたんですが・・・。前回は横浜開催だったということを割り引いても、民間企業のアフリカビジネス担当の方々も「ここで社長をその気にさせてやるぜっ」と考えておられるでしょうから、気が気でないですよね。今回は基本的にサイドイベントはオンラインで開催される方向だという話も聞いていますので、それはそれで適切な形で準備するしかないと思っています。まあ、一部から指摘があるように「単に3年に一度のお祭り騒ぎをやる」だけでは意味がない、というのも事実です。「3年に一度のお祭りより、毎日の着実な商談」という考えも確かに理解できます。

 

 さて、話題は変わりますが、最近、ある企業が主催したカーボンニュートラル関係のセミナーに参加して驚きました。いわゆる脱炭素化に関するスタートアップの数もそこに集まる民間投資の額も、日本は諸外国(いわゆる欧米先進国のみならず中国等も含め)より2桁近く少なそうです。これはVC界隈の方々にとっては常識なのでしょうが、やはり世界の中では「視野に入ってこない」ということだと思います。

 

 よく政府は「オールジャパンで!」という掛け声をかけます。研究開発にせよ、ベンチャー振興にせよ、大型インフラ輸出にせよ。私は、それは「何もやらんよりよっぽど良いが、それでは追い付かない」と至る所で騒いでいます。と言うと、まあご想像どおりの反論も頂戴するのですが、ハッキリ言って甘い!ですよ。中国やインドには日本の10倍の人口(人材)がいます。アメリカには世界の78億人の中から才能と野心を持った若者が集まります。これにオールジャパン(しかも日本の悪い所は、ほぼオッサンだけで)で対抗するのは、さすがに無理がある、というのは中学生でも分かる話です。

 

 寧ろ日本は「優れた外国人が活躍することを認めてきた」国である、ということを思い出して欲しいと思っています。私はこの15年ほど、大相撲幕内力士42名の外国籍人数を番付表で定点観測していますが、必ず812人は外国籍です。プロレス界を見ても、既に1968年当時、「日本側」の手薄だった国際プロレスでは『人間風車』ビル・ロビンソンをエースとし、1970年代後半、全日本プロレスの「世界最強タッグ決定リーグ戦」の花形は馬場・鶴田組ではなく、『テキサス・ブロンコ』ザ・ファンクスや『黒い呪術師』ブッチャー+『アラビアの怪人』シーク組でした。究極は80年代前半の『不沈艦』ハンセン+『超獣』ブロディ組でしょう。つまり既に40年ほど前には日本のプロレス界は「日本人(善玉)vs外国人(悪玉)」対決の構図から「凄玉vs凄玉」対決に進化していたのです。私は、日本に国籍も性別も超えて「俊英」が集まり、世界のイノベーションをリードして欲しいと切実に願っています。また、オッサンの役割は、俊英の活躍できるリングを整え、トレーニング施設や試合後の焼肉の手配をすることにあるのだろう、と信じています。

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