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第140回

第140回

 先週、バングラデシュへ行ってきました。ようやく帰国時のPCRテストや抗原検査の手間も軽減され、海外出張も行き易くなってきた感じです。

 今年で日本との国交樹立50周年を迎えるバングラデシュは物凄い親日国です。南アジアでインドを挟むパキスタンも親日感情の強い国で、ともにイスラム教の国ですが、やはり風土的に見てモンスーン気候のバングラデシュでは、街の中にASEAN諸国的な雰囲気も感じます。例えば、パキスタンと言われたら「1976年、カラチでのA猪木vsアクラム・ペールワン戦」や「1987年、G馬場vs自称パキスタン空手王者ラジャ・ライオンとの異種格闘技戦」あたりがスラスラ出てこないと昭和プロレス検定の3級にも通りませんが、バングラデシュにはそういう乾いた感じはありません。あ、これは関係ないか。

 

 まず感じたのが、ダッカ市内の物凄い交通渋滞。何と言っても普通車、バスや大型トラック、バイクに加え、CNG車(と呼ばれている小型の現地車)、リキシャ(自転車で牽引する人力車)、オートリキシャ(バイクで牽引する人力車)が信号の殆どない道路を縦横に(時には逆走して)走ります。25年前のバンコクやジャカルタの比ではない感じです。ブツケずに運転するのは至難の業と言えます。ま、とは言え、日本のODAで高速道路、港湾拡張、新空港、メトロの整備が同時並行的に進んでいます。数年したら、この状況も相当程度、改善されるでしょう。

 

 同国では、経済特区の整備も積極的に進められています。日本の総合商社が主体となって進めている日本向けの特区には、多くの日本企業の直接投資が期待されています。皆さんご承知のとおり、同国は、繊維製品(既製服:Ready-made Garment)と皮革製品(鞄や財布等)の生産と輸出でこれまで高い経済成長を遂げてきました。また、この両分野は、当面の間、同国の豊富な労働力供給を背景に、主力製造業の地位を保つものと思われます。

 

 とは言え、課題もあります。ハードのインフラ整備はどんどん進み、また、15年前に課題であった電力供給等は既に問題なくなっていますが、同国に進出した日本企業や欧州系企業の方々に伺ったところ、税制(の運用)、関税・通関制度、送金規制、中小企業振興策、人材育成といった面ではまだまだ課題がありそうです。また、意外と大きそうなのが「日本との直行の航空便が無いこと」でしょう。ある衣料の製造小売関係の企業にお伺いすると、直行便さえ飛べば、即座に注文が何割か増やせるのに・・・、と。ちょっと勿体ない話です。

 

 更には、これも現地大使館、JETROJBCCIJapan-Bangladesh Chamber of Commerce and Industry)の方々と意見交換していて出てきた話ですが、すぐ東に隣接するASEANでは、人口6.5億人に達する巨大市場として、また、域内での水平・垂直分業によるバリューチェーンの構築を通じて、極めて効率的な経済活動が営めるのに対比して、バングラデシュは、国内人口1.6億人とは言え、まだまだ単独で勝負をしないといけないところがある、という点も課題です。複数の関係者から、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)加入への期待や、それによる産業構造高度化・経済活動の多角化への期待も聞くことができました。まだまだやることは沢山あるし、日本がお手伝いできることも山のようにある、という感じです。ICTが発達したとは言え、やはり、現地には行ってみるモンですね。

バックナンバーはこちらから http://www.unido.or.jp/publications/shocho/