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第139回

第139回

 今週は、バングラデシュに仕事で来ているのですが、先日あった米国テキサス州の小学校での銃乱射事件について思うところを書いてみます。

 米国では、この種の事件が毎年のように起き、何の罪もない子供達が多数殺されています。その度に、「ああ、これは日本では起きない種類の凶悪犯罪だ。もし日本で銃の乱射事件が起きたら、銃刀法に基づく規制もさらに強化されるに違いない」と思います。

 

 実は、米国留学中(1991-1993)、私も銃を向けられたことが一度あります。私はコロラド州に住んでいたのですが、冬休みに日本人の友人と一緒に車でモニュメントバレーやグランドキャニオンを見物に行きましたが、そのついでに、アリゾナ州の隕石クレーター(Meteor Crater)にも立ち寄ったんですね。まあ、男同士という気軽さもあり、何の予定も立てずにハイウェイをぶっ飛ばして、現地に着いたら深夜。さすがに見物をするわけにも行かず、ちょっと道から外れた所に車を停めて、車中泊にしようということになったんですね。グーグー寝ていると、深夜2時くらいに車をトントンと叩く音がする。何度か続いたので流石にこれはマズいと思ってドアを開けると、猟銃を持ったオジサンが立っていて、「お前らはどこから来た?ここは私有地だ。早く出ろ」とやられました。今思えば、いきなり発砲されなくて幸運だったと思います。また、英語がとりあえず話せて良かった。

 

 まあ、そういう経験をしたこともあり、アメリカでは「護身(あるいは侵入者を撃退)」のために一般人が銃を持つ、ということがかなり一般的だということは多少は理解できます。しかし同時に、「国民を護る」ことが第一の使命であるはずの政府や議会が毎年のように起きる銃による凶悪・大規模犯罪に対して何の対応もしない、というのは全く理解できません。まあ、よく議会(特に南部出身の共和党系議員)に多大な影響力を持つ「全米ライフル協会(NRA)」のロビイングによって規制強化の法案が議会を通らないのだ云々、という指摘はいろんなメディア上で見聞きしますが、これもちょっとよく分からない。

 

 確かに、アメリカでは銃の入手は簡単なようです。よくメディアでは「スーパーマーケットにも銃と弾薬は置いてある」等と報道されますが、私の住んでいたコロラド州では、スーパーには置いてなかったなあ。大きなショッピングモールの一角に銃砲店がありましたが、勿論、一度も入ったことはありません。普通に考えれば、「銃」というものはそんなに沢山売れるものではなく、最大の購入者は軍隊や警察でしょう。となると、一般家庭で所持されている数は知れている筈ですよね。となると、製造者の団体が熱心に一般人の所持への規制に反対する理由が分からない。

 

 まあ、アメリカというのは不思議な国で、今は減ったとは言え、日曜日の朝には教会に行く人たちも沢山います。その一方で銃の規制は緩く、毎年悲劇が起こります。勿論、「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」という一部の主張は正しい側面もありますが、刃物等と異なり、銃は「多数の、無関係な人をも」殺傷してしまいます(少数で、関係のある人なら、構わない、という趣旨ではありません)。極端に言えば、核兵器やミサイルなどと(スケールの違いこそあれ)同じ性格を有しています。私は、この点については米国に対して辛口で接さざるを得ません。

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