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第138回

第138回

 どうもこのところ、回文作りが停滞しています。最近作ったモノが「ややチンゲン菜食べたい三軒茶屋」だの「阿炎飲むのビア」だの「竜田揚げ食べた、ゲ、アタった」等という低調なものばかり。これは脳の機能が低下しているからに違いありません。

 真面目なことを考えていないからこうなるのだと反省し、虚心坦懐に「最近、理解ができないこと」を勉強してみよう、と殊勝なことを思いつきました。実は一番分からなくて困っているのが、現在のスパコンの遥か上を行く「量子コンピュータ」なるものです。

 

 私の16年前に出した博士論文は半導体技術ロードマップが半導体プロセスの研究開発にどういう影響を与えたか、に端を発した技術経営(MOT: Management of Technology)分野の研究です。まあ、半導体そのものの理工学的な研究ではないけれど、若い頃、半導体産業と通商摩擦の担当をしたこともありますので、いわゆる「これまで」の半導体というものがどういう原理で機能し、どういう仕組みで0/1を表現し、どうやってコンピュータが「演算」をするのかは、まあ分かります。が、「量子コンピュータは、通常のビット(01)ではなく、01の重ね合わせ状態(2量子ビットの場合、000110114通り)を同時に表現、すなわち計算可能とする」というのが既に全然理解できない。特に「01の重ね合わせ状態」というのが、一体どういう状態なのか全く想像ができません。

 

 量子コンピュータにも幾つかの方式があり、「量子アニーリング」と呼ばれる方式の研究が日本では若干(?)先行している、というのも、産総研時代にそういう研究をしていたグループがあったので、まあ何となくですが理解できます。その昔、超電導の研究開発ブームが起きた時に、超電導技術の最大の用途は高圧・大電流送電用の電線でしょうが、超低温で働く「ジョゼフソン素子」で「超電導コンピュータ」を作ろうとする研究も行われ、その派生(?)技術が、現在、一部地磁気等のセンシング分野で活用されているということも、これまた朧気ながら知っていますので、絶対零度に近い極低温が必要だという「量子アニーリング」も、おそらくそうした研究と近接性はあるのだろう、と勝手に凄くフワフワと想像しています。これ、もう理系じゃないな。

 

 既に幾つかの型の量子コンピュータは商用化されているそうですが、どうやってプログラミングするのか、どうやって変数を入力(?)するのか、演算結果はどうやって読み出すのか、ということも全く分かりません(素子の原理よりも、寧ろ、こちらの方が別の意味で分からない気がする)。

 

 更には、「量子アニーリング方式」でない方の「ゲート方式」という量子コンピュータは、その中でも幾つかの「量子ビット」を作るための原理(方式)が幾つも提唱・研究されており、「超電導リングを流れる磁束の向きをマイクロ波で制御」だとか「電場・レーザーで捕捉したイオンをレーザーで制御」だとか「シリコン回路中の電子スピンをマイクロ波で制御」等があるそうです。物理現象としては何となく分からんでもないけれど、それでどうやって「演算」するのか、謎は深まるばかりです。もう少し本を読んでみようと思いますが、これが自分の「先端科学技術への理解の限界(壁)」だとすると嫌だなあ。

バックナンバーはこちらから http://www.unido.or.jp/publications/shocho/