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第127回

第127回

 今週は、ウクライナ情勢について言及せざるを得ませんね。まず、国連本部から日曜日(227日)に送られてきた基本メッセージを見ますと、当然ですが、初っ端に「ロシア連邦の軍事攻撃は、地域の秩序とウクライナの主権に対する侵害である」とあり、「この紛争はただちに止めなければならない」と続きます

 国連の最大の使命は世界の平和維持にあるのですから、これは至極アタリマエのことですが、しかしそれにしても、なぜロシアが(かつてソ連時代は連邦の一員だったとは言え)隣国を軍事的に侵攻しなければならないのか。まあウクライナのNATOへの接近がそれに火を付けたと言われていますが、それにしても、21世紀のこの時代にこういうことが起きるとは、多くの人が予想していなかったでしょうね。この1ヵ月近く、「いつロシアがウクライナに侵攻するか」という報道は溢れていましたが、まさか本当にロシア軍がキエフに押し寄せるとまでは、私も迂闊なことに考えていませんでした。

 あまり悲観的な予想をしたくはありませんが、世界は想像以上に分断と憎悪に満ちてきていて、明るい未来像を無邪気に語ることを許さなくなってきているのかもしれません。特に、「大国」と呼ばれる国々は、そのイデオロギーや政治体制に拘わらず、膨張圧力というものを抑えられなくなってきている可能性があります。そうなると、世界の色々なシステムに甚大な影響があります。既に石油・天然ガス価格の高騰は世界を揺がし始めていますが、いつの間にかCOVID-19の話題は霞み(リスクは勿論存続するが)、また、世界のパワーバランスにも大きな影響を与えて安全保障環境というものも大きく変わるでしょう。どう変わるかは正確には見通せませんが、少なくとも、これまで「何となく大丈夫だろう」と思っていた関係が突然に軋み始める可能性があることは認識すべきだと思います。

 経済関係もそうです。リカードの比較優位説登場以来、国々は自国の得意なモノの生産に特化して、他国との自由貿易でお互いの得意なものを交換しあうことが経済学的には最も効率的であるとされてきました。WTOに代表される国際貿易ルールもそれに基づいてグローバル化のルールを定めてきた訳ですが、さすがにこうなると、食料やエネルギーについては何としても自国内での完全自給を可能とすべき、というような議論も出てくるでしょう(まあ、この2つの自給率は何にせよ更に高める必要があるとは思いますが)。

 そうなると、私の仕事である「開発途上国/新興国への投資促進・技術移転促進」の環境も激変しかねません。勿論、日本の立場で考えても成長市場は国内には少なく、海外市場が命綱、途上国/新興国にとっても、技術を始めとする様々な魅力を有する日本との関係が細ることは良いことではありません。また、228日には部品工場へのサイバー攻撃で大手自動車メーカーが工場の操業を停止したとか。今回の事態とどう関係するのか詳細は分かりませんが、いずれにせよ、思わぬところに影響が出ています。金融機関がサイバー攻撃されて預金者の預金残高が軒並みゼロになったりすると大混乱必至です。

 2月下旬は、国内でも古くは2.26事件、あさま山荘事件、と「暴力で世界を変えようとする愚挙」が起きた時期という印象がありました。いずれにせよ今回の事態が早急に、かつ、ロシア、ウクライナ両国の善良なる一般市民の平和な生活を守る形で収束して欲しいと思っています。