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第116回

第116回

 今週は、前回のお約束通り、野球のことを書くことにします。プロ野球も日本シリーズを終え、全日程が終了しましたが、今年の話題は、何と言っても大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手のMVPというか、二刀流での大記録でしょう。

 その記録については、今更なので触れませんが、あれだけの成績を挙げた選手なのに謙虚で爽やかな人柄がいたるところで絶賛されており、ある週刊誌の先週号には「老婆心ながら国民的関心事 『大谷翔平』どうなる『結婚相手』」等というお節介な記事が掲載される始末です。中身も、「女子アナでは不足!」という身も蓋も無いものから、昭和の安打製造機・張本勲の「二刀流継続を支えられるのは内助の功」とかいう、炎上必至の昭和感漂うコメント、果ては毒蝮三太夫の「ぜひ池江璃花子とゴールデンカップルに」という余計なお世話まで。それだけ大谷君が皆にとって気になる証拠です。今や、大衆が無条件で熱狂できる唯一の存在なのかも知れない。これは多分、・・・長嶋茂雄以来では?

 以前このブログでも書きましたが、野球は政治的なスポーツです。犠打、犠飛、盗塁、隠し球、振り逃げ、敬遠、・・・。しかしながら、大谷君のホームランは「打球を遠くに飛ばす」という単純な(しかし困難な)ワザを見せることによって、野球に埋め込まれた政治的な小細工の類を吹っ飛ばしてしまう。来年こそは20勝・400奪三振・60本塁打・35分・150打点くらいの超豪快な成績を達成して欲しい。国民栄誉賞を「貰う」どころではなく、それこそ、以後野球界で「二刀流」で活躍した選手には「大谷賞」が与えられるくらいの。

 まあ、大谷君のことはこれくらいにして、日本のプロ野球も話題は豊富です。絶対に「何にも考えていない」選手の代表であった筈の新庄剛志氏が日本ハムの監督に就任した、とか、その派手な服装を批判した清原和博氏が「お前が言うな」とばかりにネット上でボコボコに叩かれたり、プロ野球人は本当にハチャメチャでいいなあ、と思うばかりです。

 思えば、小学校低学年の頃、亡父は「西鉄ライオンズ」の話ばかりしていました。確かに、一人で日本シリーズで5連投し4勝してしまう鉄腕・稲尾投手とか、ショートライナーかと思ったら高速弾道でスタンドに放り込んでしまう怪童・中西太とか、それはそれは豪快で野球のルールの政治性を簡単に飛び越えてしまう当時のライオンズの凄さは、若き日の父に鮮烈な印象を与えたのでしょう。(一方で、魔術師・三原脩監督の用兵術が、野球の政治性を知り尽くした上でのものだったのは面白い対比だったと思います。)

 プロ野球選手は、プロなんだから、必ずしも「お手本どおり」のプレーやスタイルをしていなくても良い筈だ。中学生の頃からそう思っていたので、独特のフォームや構えの選手は個性を極めた、という意味で大好きだし、元阪急の「世界の盗塁王」福本が国民栄誉賞を「そんなん貰うたら、立小便もでけへんようになる」という理由で辞退したりしたのも、いかにもプロ野球選手っぽくていいなあと感じます。(勿論、王選手が国民栄誉賞・第一号として堂々と受賞し、以後、プロ野球選手の範たるを示したのも尊敬に値すると思います。)

 最後に個人的な感想を。実は、私が今年一番嬉しかったのは、ロッテの荻野貴司選手の最多安打・盗塁王タイトル獲得です。数年前に、次男を連れて東京ドームで観た日ハム=ロッテ戦で彼を知り、密かに応援していました。一面識もありませんが、こういうの嬉しいですね。