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第115回

第115回

 1120日は、国連が定めた「アフリカ工業化の日」です。先週の「ひとりごと」でお知らせしたとおり、今週月曜夕刻(日本時間)、AUがニジェールで開催予定だった(!)AU工業化サミットのサイドイベントとして、当事務所でも “Investment and Technology Promotion for Industrial Development in Africa under AfCFTA” というオンラインセミナーを開催しました。「開催予定だった」AU工業化サミット本体は、先週末、突然「延期」というアナウンスがあり、大慌てで先週末、関係者と連絡を取って確認しましたが、結局理由はよく分からないままです。まあ、例によって政治的な何かの事情が絡んでいるのでしょう。ところが、連絡を取ったAU委員会の担当者は「大丈夫、時期をズラすだけだから。サイドイベントは予定どおりやってくれよ」という調子。まあ、こういうのにはだいぶ慣れましたが、それにしても「That’s Africa!」感が強いですね。

 しかし、中身は、主催者自らが言うのも変ですが、大変実りあるものでした。私はパネルディスカッションのモデレータ(『笑点』の春風亭昇太役)をやったのですが、まあ、普通のパネルだと、パネリストの発言を一通り回すのが精一杯、1~2問Q&Aをやって時間切れ、というケースを多々経験してきましたが、今回、アフリカ側から3名のパネリスト(コートジボワール投資促進センター総裁のMs. Solange Amicha、ガーナからはAfroChampionsという民間団体のMr. David Ofosu-Dorte、ナイジェリアからはPan African Manufacturers Association会長のMr. Mansur Ahmed氏)をお呼びしたところ、大正解! 議論が白熱し、私としても幾つか新たな発見がありました。

 最大の発見は、私がAhmed氏に投げかけた「日本には約38万社の中小製造業があり、名だたる大企業も、これら中小製造業から部品を購入したり、彼らのネットワークを使って仕事をしている。製造業を振興するためには、中小企業の発展が鍵を握る筈だが、アフリカの中小製造業の実態はどういうもので、今後どういう方向に行こうとしているのか?」という問いに対する同氏の発言でした。曰く、「アフリカ全土には4000万社の中小企業がある(注:これは商業やサービス業も含めての数ではないかと思われます。日本の中小企業総数の約10倍で、人口も約10倍ですから、なかなか面白い符合だと思います)。が、その殆どがfamily businessinformal businessであり、ビジネス拡大のためのファイナンスにも、良い販路にも、良い人材にもなかなかアクセスできない。この点については、日本の経験からも学ぶべき点が多いと思っている」ということでした。

 実はこれと前後して、「日本の過去のアジア(アセアン)での工業化の経験は最早、古いモデルであり、もっと日本企業はグローバル化した経営を行わなければアフリカでは勝負できない」という主張と、「とは言え、エチオピア等、工業化について国としての目標が明確(2020年代半ばまでにアフリカの軽工業ハブとなる)であり、トップがコミットしている国ではKAIZEN等に対する注目も高く、日本の経験をカスタマイズすることにより人材育成の柱になりうる」という二つの考えも提示され、私としては「国情、目標、経済の成熟度等により、双方をうまく組み合わせることが可能かつ適切ではないか?」とも考えています。アフリカでの中小企業育成、大変そうですが、とても魅力あるテーマと思います。(しまった、今週こそは大谷君と野球のことを書こうと思っていたのに・・・・)