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第114回

第114回

 先週土曜日(13日)、英国グラスゴーで開催されていたCOP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)が閉幕しました。結果については種々報道されていますが、私が思ったことを書いてみたいと思います。

 今回のCOPの最終合意文書(Glasgow Climate Pact)では、近年の自然災害の頻発等を受け、気候変動の影響を「1.5℃に抑える努力を追求することを決意」することが合意され、結果的に2022年末までに各国の排出削減の目標等を検証し、必要に応じて強化することが各締約国に要請されました。これは、ある意味パリ協定の目標を更に進めることにはなったと思うのですが、当然に、対策面での困難度は大きく増大します。合意は良いとしても、率直な話、温暖化対策は極めて困難な段階に突入した、と言わざるを得ません。

 最大の焦点となった石炭火力発電の扱いについても、「排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の段階的な削減への努力を加速する」とされていますが「段階的な削減」は、インド等の最終局面での主張により、当初議長案の “phase-out” から “phase-down” へと文言が緩められたのだとか。ただし、私としては(私が知らないだけなのかも知れませんが)、「排出削減対策が講じられていない(unabated)」という文言が、いわゆるCCSCarbon Capture & Storage)が付置されていないという意味なのか、あるいは超超臨界技術等の燃焼効率面での対策が講じられていないという意味なのか等、気になるところです。

 国家間の交渉の困難さ、特に先進国と開発途上国/新興国の関係は、もはや不幸なことに「分断」と呼ぶべきものと思いますが、金融機関の有志連合(GFANZ: Glasgow Financial Alliance for Net-Zero)や、ZEVZero Emission Vehicle)に関する政府・都市/地方政府・自動車メーカー・物流企業等による団体が独自の対応策についてコミットメントを多く公表したのは特筆すべき動きだと思います。ただし、これら宣言が「何をどこまでコミットしたものか、ナンチャッテgreenではないのか」をチェックするのも重要でしょう。

 COP26の交渉に関わられた関係者の方々からは怒られるかも知れませんが、私としては、温暖化問題の中核は「13億人の人口を擁する中国とインドの石炭火力をどうするか?」、「(水素還元技術の研究開発が途上とは言え)コークスによる還元が技術的に最適である製鉄や、化石燃料を原料としている化学産業をどう再構築するのか(あるいは鉄鋼やプラスチックに代わる材料を用いるのか)?」なのだから、そうした「本当の大課題」を解決するために人類の叡智と資本を集中投下すべきだと考えます。シャワーの時間や冷房の設定は、人々の「気づき」にはとても大事ですが、「大所」をどうするかを真剣に考えないと手遅れになると思うんですが。

 最後に全然別件ですが、宣伝を一つ。AU(アフリカ連合)は来週、ニジェールでアフリカの工業化と経済多角化に関するサミットを開催し、UNIDOも共催団体になっています。このサミットのサイドイベントとして、1122日(月)の18001930に、オンラインで “Investment and Technology Promotion for Industrial Development in Africa under AfCFTA” というセミナーを開催致します。基調講演には JETROアジ研の平野克己上席主任調査研究員、政策研究大学院大学の大野泉教授、Pan-African Manufacturers Association  Mansur Ahmed 総裁が、また、その他、日・アフリカの関係者を多数お招きしてのパネルディスカッション等、盛り沢山のプログラムです。ご関心の方は https://www.unido.or.jp/coming/11605/ までどうぞ。