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第105回

第105回

  今月28日(火)に、オンラインでAlgeria Business & Economic Seminarをアルジェリア投資促進庁(National Agency of Investment Development: ANDI)と共催しますので、先日、ベンシェリフ駐日大使を訪問して意見交換をしてきました。

 アルジェリアは、人口4,390万人(アルジェリア国家統計局(2020年))、一人当たりGDP 3,970米ドル(世界銀行(2019年))という、新興市場として大きなポテンシャルのある国ですが、これまでのところは、一部石油関係プラント等を除けば、そのポテンシャルに見合うだけの投資が日本から行われているとは言い難い状況でした。

 これには勿論理由があり、いわゆる輸入制限(例えば、国内組立の自動車産業を振興するために中古車の輸入を制限する等)や、かつての社会主義的政策の名残による外資への種々の制約等が存在していたためです。勿論、近年では外資導入の拡大に向けて様々な改革が開始されていますので、そうした情報を日本企業の皆さんに迅速にお伝えするのは我々の仕事でもあるのですが、特に新しい投資法の規定については関心が集まります。

 このセミナーの運営についてベンシェリフ駐日大使と話をする中で、彼から興味深い指摘がありました。同国の経済は石油・天然ガスを中心としており、特に輸出・外貨獲得源と言えば石油・天然ガスへの依存が強く、原油価格の推移によって国の経済が大きく左右される状況から逃れるべく、産業の多角化が急務とされてきました。

 投資セミナーですから、当然、各種の外資政策(制度)の紹介に加え、どんな産業セクターにより多くのビジネスチャンスがあるのか、輸入代替型の産業を狙うのか、EUの市場を狙う輸出型か、等という議論が注目されるわけですが、大使は「石油・天然ガスを使ってnew fuelを輸出する産業を振興したい」と仰います。いわゆる「ブルー水素」という奴で、例えば天然ガス(CH4)中の炭素をCO2として地下にCCSCarbon Capture and Storage)という技術で埋設し、一方で水素を燃料として取り出す、という構想です。水素は気体のままではやたらに嵩張りますので、冷却(約マイナス259度)して液化する手もあるのですが、寧ろ世界の趨勢は、MCH(メチルシクロヘキサン:C6H11CH3)やギ酸(HCOOH)といった有機水素やアンモニア(NH3)のような液体の形にして燃料として活用するという考えです。MCHやギ酸はCを含みますので、燃料として使用する際に再度触媒等を使って水素だけを取り出す必要がありますが、アンモニアならばそのまま燃やせますし、勿論CO2も発生しません(NOxの発生を抑制する必要はありますが)。液体ですので運搬や貯蔵については、これまでに造られたインフラ(タンクやタンクローリー)がほぼそのまま活用できます。

 アルジェリア国内でどこまで具体的な検討が進んでいるのかは良く分かりませんが、産油・ガス国であれば、当然こうした形で、自国資源を最大限活用しつつカーボンニュートラルの実現を図っていこうと考えるわけですね。また、これまでの投資セミナーでよく言及された製薬、機械組立て、医療用資材等の製造に加え、太陽光発電や海水淡水化等についても言及がありました。更には、燐鉱石、鉄鉱石、銅・亜鉛、バライト(バリウム)等の鉱物資源にも。ちょっととっつき難い国にも大きなビジネスチャンスが転がっています。ご関心のある方は当方ウェブサイトから(https://www.unido.or.jp/coming/11248/)ご登録下さい。