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第90回

第90回

 なかなかコロナ禍もおさまらず、自分にワクチン接種が回ってくるのはいつだろうと考える毎日ですが、こんな時こそ少し浮世離れした話を、ということで今日は数学の話です。

 先日、ネットで『大学入試数学 不朽の名問100』という本を見つけ、早速購入しました。帯に「π3.05 を証明せよ(東京大学)」というのがデカデカと書かれており、ちょっと(大いに?)好奇心とチャレンジ心をかきたてられたのがきっかけです。

 これ、この本によれば「東大の伝説の入試問題」と言われているそうで、2003年の出題だということですが、これ見た途端、「これ、円に外接する正n角形の全周と円周と内接する正n角形の全周を比べて、nが大きくなるほどこの3つが接近してπの値が求められる、という奴だな、ギャハハハ、チョロい、チョロい。東大こんなヘボ問題出してんのかよ」と珍しく見破りました。早速、その場でアタマの中でまず正方形の場合を計算し、2√2π4、というのが得られ、次に紙に正六角形を書くと、3π2√3、というのが求められました。「楽勝じゃん! こう来たら、正解は多分正八角形か正12角形だな。おっと、3.05より大きいことだけを示せばいいんだから内接の方だけで良いな」と思いついたはいいのですが、他の問題は全然こんなに単純では無かった・・・、受験生の方々が必死になってやっておられるのだから、世の中はそんなに甘い筈はない、という話です。

 例えば、初っ端の「4^(2n-1) + 3^(3n+1)13の倍数であることを証明せよ(信州大学2012年。^はべき乗)」。大学受験数学というものから41年間遠ざかり(塾講師や家庭教師は6年間やりまくり、決して少額とは言えない額のおカネを荒稼ぎさせて頂いた筈ですが・・・)、錆び付いたアタマには堪えます。「数列の形をしているから数列の問題の筈だろう」とヤマ勘を働かせて n=1, n=2, n=3と順に代入していくうち、ようやく「これは数学的帰納法の問題なのではないか」と気付きました(もっとエレガントな解法は整数論の合同式というものを使うやり方だとか・・・。そんなの昔の教科書に載ってたかなあ?)。

 3問目の「素数p, qを用いて p^q + q^p と表わされる素数をすべて求めよ(京都大学2016年。ここでも^はべき乗)」というのにも完全に参りました。皆目分からない。俺が受験生だった頃にこんな難しい問題無かったぞ。第一、全然見たこともない。どうも最近の受験問題は昔より難しくなっているのではないか、とさえ思えてきました。実際には、1960年代、1970年代、1980年代の問題もこの本にはそれなりに含まれているのですが・・・。

 巻末には「日本数学オリンピック予選問題」というのも4題掲載されています。「10! の正の約数dすべてについて1 / ( d+√10!) を足し合わせたものを計算せよ」とか、「2001個の自然数 1, 2, 3, …, 2001の中から何個かの数を一度に選ぶとき、選んだ数の総和が奇数であるような選び方は何通りあるか。ただし、1個も選ばないときはその総和は0であると約束する。また、2001個すべてを選んでもよい」とか、ちょっと気が遠くなるような問題です。が、解答を見てみると意外とシンプルでびっくり。まあ、人間のアタマというものは色々なことを考えられるんだなあ、と他人事のような感想を抱いた週末になりました。