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第78回

第78回

  今週月曜日、3月8日は『国際女性デー』でした。国内でもオンライン主体で様々なイベントが開催されたようです。不肖私も、先週3月2日付の日刊工業新聞紙上の『未来を変える』というコーナーで「ジェンダー平等と工業開発 テクノロジーで女性に力を」と題する拙稿を掲載いただきました。

  昨今、色々な形でジェンダー平等は話題になります。率直に言えば、多分、自分自身も世の中からは、もうズレてるんだろうなと思っています。また、私だけでなくそうしたオジサン達が世の中に増殖した結果、現在のGlobal Gender Gap Report 2020(世界経済フォーラム) での日本の位置(世界で121位)に繋がっているのだろうと思います。

 先日ネットで配信されたニュースを見ていたら、「西川きよし&ヘレン夫妻、国連会議で家族について語る 慰問活動は『命の続く限り』」という記事がありました。8日、京都の国立京都国際会館で行われた『女性のエンパワーメントと正義の推進~「京都コングレス」と「国際女性デー」~』にこのお二人が参加されたそうです。

  漫才師の西川きよし師匠が、長年、刑務所や拘置所等への慰問を行ってこられているのは有名な話だと思います。脱線ですが、パートナーの横山やすし師匠がご存命の頃は、きよし師匠が真面目な顔で「私、先日、ある刑務所の慰問に行ってまいりまして・・・どんなとこか初めて分かりました」と言うと、横からやすし師匠が「そんなん、わざわざ行かんかて、ワシに訊いたらええさかいに。ワシよう知っとるで、長いこと入っとったから」と返す、というのが定番ネタでした。

  私はこの3月末でちょうど社会人生活満35年となります。昭和61年の4月は、「男女雇用機会均等法」が施行された時ですから、日本社会も、少なくとも35年はこの課題を自覚して動いてきた筈です。また、いわゆる出産休暇・育児休暇が男性にも適用される等、制度面での進展も図られてきました。しかしながら、全体の風景や雰囲気は、それほど大きく変化していません。行政も、企業も、アカデミズムも、また、政治の世界も「昔とはだいぶ変わった」が、「世界はもっと動いている」から、結果的には「あまり変わっていないように見える」ということにならざるを得ない(他でも多いですね)のだと思います。

 開発途上国におけるジェンダー平等の実現(SDGsの5番目のゴール)は、実はそれ以外のテーマと深く結びついています。例えば、「安全な水を供給する仕組みや衛生的なトイレ」が普及すれば、女性(や子供)達は何時間もかけて遠くへ水汲みに行く必要はなくなるし、学校で教育を受ける機会が増えます。また、感染症のリスクが減り、乳幼児死亡率が下がり、大人も健康的な生活を送ることが可能となります。更には、これらの事業を継続的に遂行するためには新たなビジネスが必要だし、そこには新たな雇用が生まれるでしょう。これまでのSDGsの議論では、こういうゴール間のシナジー効果やトレードオフが必ずしも具体的には認識されていません。これからは、一つのゴールの達成が「芋蔓」方式でどんどん他の目標達成にも繋がっていく、というメッセージを世界に発信しないといけないと痛感します。ジェンダー平等、とだけ言うとえらく観念的に聞こえますが、実はそうではないのだと。また、こうした課題に産業振興とイノベーションの視点で挑むのがUNIDOの今後の課題だと認識しています。