このページをシェアする

第74回

第74回

  今週は、与太話です。歳を食ってくると、それなりに趣味・道楽にもおカネをかけたくなります。しかしながら、実際には、家庭だの子供の教育だのにお金がどんどん出ていきますので、贅沢は許されません。必然的に「おカネのかからない趣味」が何よりありがたい訳です。私の場合、それは「回文作り」です。来るべき老後に向けても良い道楽と言えます。(隠居してブツブツと回文を作っている爺というのもかなり不気味ではあるが・・・)

  一昨年の秋に回文を作り始め、昨年は駄作を100本ほど作りましたが、人様にご披露できる出来のものはせいぜいその1割程度です。また、公序良俗に反するものほど出来が良かったりしますが、そういうものも無論発表できかねます。今回は、誠に恥ずかしながら、私が回文を作るプロセスの一端をご紹介します。

 これはつい先日の拙作の例です。まず「①世界で活かせ」というのを思いつきました。これは誰でも(小学生でも)思いつくレベルです。で、これではあまりに芸が無いので、少し長くします。例えば、「②夜、世界で活かせるよ」というのは、まあ常套手段ですがどうも面白くない。同時に「③夜の世界で活かせ、乗るよ」というのを考えつきましたが、これも、どうも意味不明気味。で、次に考えるのが、中心部を長くすることです。ということでできたのが「④世界一の地位活かせ」です。少し調子が出てきましたが、残念ながらこれは既に先人が作られたもののようです。

 となると、同様の意味で違う言葉は使えないか考えます。で、できたのが「⑤世界最大の偉大さ活かせ」です。少しそれらしくなってきましたが、何を活かすのかが書いてなくてどうも締まりません。で、次に捻り出したのが、「⑥世界最大の金塊買う快感、『気』の偉大さ活かせ」です。勢いついでに、「⑦世界最大の銀塊買う快感、『義』の偉大さ活かせ」というのも作ってしまいました。が、どうも『気』の偉大さとか『義』の偉大さとかに、かなりの意味不明感が漂います。何とかしたいのですがちょっと難しい。一応このままで回文愛好者のサイトに投稿したら、若干の反響がありました。「この微妙な無理やり感がいい」と。褒めてんだか貶してんだか分からん・・・。

 よく見てみると「世界最大の・・・の偉大さ活かせ」というのが一つのパターン(テンプレート)になっていることに気がつきます。となると、「・・・」の部分にまた別の回文を挿入するとどんどん新作ができることが分かります。「トマト」でも「新聞紙」でも「貝食べたイカ」でも「肉の多い大乃国」でも構いません。私はこれを「カセット方式」と勝手に命名していますが、回文界でも度々これは話題になり、競作(大体「増殖回文」と呼ばれる)が始まります。

 そうして考えているうちに、「⑧世界最大の黒ゴキブリ、尻拭き語録の偉大さ活かせ」という超ヘンテコなものができてしまいました(黒ゴキブリの「ぶ」と尻拭きの「ふ」はいわゆる濁点ご容赦、です)。まあ、私の回文作りというのはこの程度ですが、これで2時間ほどは遊べます。外出自粛中の週末の暇潰しにはもってこいかと・・・。