このページをシェアする

第3回 日本‐アフリカ ビジネスフォーラム(Day 4:「革新の大陸・アフリカ:躍進するスタートアップ企業と共に」)※オンライン

第3回 日本‐アフリカ ビジネスフォーラム(Day 4:「革新の大陸・アフリカ:躍進するスタートアップ企業と共に」)※オンライン

62930日、71678日の計6日間、第3回 日本・アフリカ ビジネスフォーラム(JABF2021)が開催され、Day3(スタートアップ・セッション「革新の大陸・アフリカ:躍進するスタートアップ企業と共に」:76日)では、アフリカのスタートアップの現状に加え、日本企業との連携を希望するアフリカのスタートアップ5社が紹介されました。

 初めに、国連開発計画(UNDP)総裁補兼アフリカ局長のアフナ・エザコンワ氏が開会挨拶を行い、サプライチェーンに混乱をもたらした新型コロナウイルスの影響は、アフリカの開発において「Made in Africa」製品の重要性を更に際立たせたことを述べ、アフリカの民間企業と海外のビジネスマッチングを加速し、海外投資を拡大させていくことの必要性を強調しました。

 パネルディスカッションでは、不破直伸国際協力機構(JICA)専門家がモデレーターを務め、初めに「スタートアップ企業の経済成長への重要性」について意見が交わされました。iCog Anyone Can CodeCEOベテルヘム・デシー・アスネーク氏は、スタートアップは一般に雇用創出などの良い影響をもたらすことを述べた上で、アフリカのスタートアップの特徴として、「アフリカの現地の問題解決の必要に応じて生まれている」ことを強調しました。フォーブス・アフリカでビジネスコンサルタントを務めるフュージオ・クンブ・ジェフ氏は、アフリカ大陸外で生まれたシステムの単純な導入ではなく、新たなものをゼロから作っていく必要性を指摘し、スタートアップ企業の担う役割の重要性を説明しました。

 次に「アフリカの民間企業と日本の事業会社の連携」について、ジェフ氏は、近年では中国や韓国などアジアの国からの投資も増えているものの、日本の優れた技術の投資が今後のアフリカの開発に欠かせないと述べました。ベテルヘム氏は、そのような日本企業の投資機会を創るためにも、アフリカ企業とのビジネスマッチング機会を増やす必要性を訴えました。

 続いて、アフリカのスタートアップ企業5社からのプレゼンテーションが行われました。

ウガンダ Mobile Scan Solutions

CEOで共同創業者のメニョ・イノセント氏より、同社が開発したモバイルエコー機が紹介されました。世界では、毎日830人の妊婦が妊娠合併症で亡くなっており、妊娠中にエコー機へのアクセスを一度も得られない妊婦が多いことが課題でした。持ち運びが可能で低価格である本モバイルエコー機を用いることで、医師の訪問診療時に妊娠初期の合併症を早期発見します。メニョ氏は、JICAや日本企業と連携し、近隣諸国への普及や、コロナ禍で需要が急増した在宅検査サービスへの拡充を加速させたいと述べました。

 

セネガル Ecobuilders MS

CEOのンデイェ・マリー・エダ・ンディエゲン氏より、同社の農作物貯蔵庫「エコビルダー」が紹介されました。セネガルでは国民の70%が農民ですが、エネルギーへのアクセスが乏しい結果、生産物の3分の1が廃棄される貯蔵問題がありました。本製品は、タイヤ・ペットボトルなどのリサイクル資材を活用し、現地の気候にも即して開発された貯蔵庫で、エネルギー不要で安価です。ンデイェ氏は今後の目標として、太陽光・地熱等の技術を応用し、セネガルに多く普及させたいと述べました。

 

カメルーン Dastudy

CEOのダヴィッド・ケンファック氏より、同社が提供するEラーニングシステムが紹介されました。カメルーンでは、貧困層を中心に教育を受けられない問題がありました。また、地元の伝統文化継承も課題でした。同社は、パートナー教師から提供される500以上のコンテンツを無料で学ぶことができるプラットフォームを開発。特徴は、アフリカの文化や言語にも精通していることです。ダヴィッド氏は、知識習得に関心があるアフリカの若者を中心に、ユーザー10万人規模へ拡大させたいと語りました。

 

チュニジア Seabex

CEOのアミラ・シュニアー氏より、同社が取り組むIoTデバイスを活用した灌漑アドバイス事業が紹介されました。近年の気候変動の影響により、世界の農業生産性は17%低下し、また過剰灌漑の問題は地下水面を毎年1メートル低下させ、持続可能な開発は大きな課題に直面しています。同社は解決策として、IoTデバイスや衛星画像からのデータを利用することで、少量の水でも農業生産性を上げる支援を実施。アミラ氏は、今後はチュニジアやフランスを中心に、アフリカやヨーロッパへ事業を拡大させたいと述べました。

 

モザンビーク BioMec

CEOのマータ・ヴァニア・ウエテラ氏より、プラスチック原料による義足製造事業が紹介されました。モザンビークでは、プラスチック廃棄物の環境汚染に加え、四肢切断者の90%は海外製の高価な義足を購入できないという問題がありました。同社は、プラスチック廃棄物など100%リサイクル資材を原料に、低価格な義足を提供することに成功。マータ氏は、今後は日本企業の技術を活用し、プラスチック廃棄物の回収割合を上げるとともに、より質の高い義足を提供できるようにしたいと述べました。

 

 セッションのまとめとして、ベテルヘム氏とジェフ氏から、「地元の問題を、地元の人たちが、地元の技術で解決していくことに意義がある」「今回のようなフォーラムが投資促進につながるため継続的に行う必要がある」との意見が述べられました。

 

フォーラム概要

日 時: 2021年6月29、30日、7月1、6、7、8日(6日間)
場 所: オンライン開催 (ハイブリッド形式。一部登壇者のみ会場から参加。)
主 催 アフリカ開発銀行アジア代表事務所
共 催: 日本貿易振興機構(JETRO)、 国際協力機構(JICA)、 国連開発計画(UNDP) 、 国連工業開発機関(UNIDO)
協 力: 在京アフリカ外交団(ADC)
後 援: 財務省、総務省、外務省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、日本経済団体連合会、経済同友会、
     アフリカ開発協会(AFRECO)、アフリカ協会、アフリカビジネス協議会、
     アフリカビジネス振興サポートネットワーク(AB-NET)
言 語
: 日本語・英語・フランス語(同時通訳)