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観光だけじゃない カリブ海の真珠 ”キューバ” の魅力

観光だけじゃない カリブ海の真珠 ”キューバ” の魅力

2018.03.09

キューバとは?

キューバは国土109,884平方キロメートル(本州の約半分)、人口約1,147万人[i]カリブ海の真珠と讃えられるほど、美しい自然と海に囲まれた、カリブ海最大の島国である。1950年代アメリカのクラシックカー、軽快なキューバ音楽や野球など、文化やスポーツでの交流も増え、親しみを持つ人も多い。外国人観光客数は、2015年の352万人から、アメリカとの国交回復後の2018年には約1.4倍となる500万人を越える見込みだ。日本人観光客も急増している[ii]

 

しかしキューバの魅力は観光だけではない。今、キューバ政府は外国企業の投資誘致に力を入れており、2016年10月に行われた第34回ハバナ国際見本市では73カ国・約1,300社が参加[iii]するなど、世界中のビジネスパーソンから注目を集めている。今回は、そのキューバの投資・ビジネス先としての魅力を紹介する。

 

政府は外資誘致に積極的

2008年に誕生したラウル・カストロ政権は、「経済・社会政策指針」の中で300以上の経済改革に取り組むことを目標に掲げ、外国資本誘致にも特に積極的な姿勢を見せている。その代表格が2013年より建設が進められているマリエル開発特区(ZED MARIEL)と、2014年に公布された新外国投資法である。

首都ハバナより45キロほど西部に位置するマリエル開発特区は、特に物流、製造業、バイオ・製薬産業などに注力しており、特区内の企業は法⼈税に当たる利益税が10年間免除され、さらに輸出入手続きの面で恩典が受けられる。2018年3月時点で既に15カ国34社が契約しており、海外からはフランス、オランダ、ベルギー、スペインなど欧州企業が100%外国資本、現地企業との合弁などの形態で参入している[iv]

また、2014年新外国投資法の公布により税制面の恩典拡大(利益税8年間免除、8年経過後も30%から15%に縮小)、投資承認手続きの簡素化など[v]、外国企業にとっての投資環境が改善しつつある。2016年にはマルミエルカ外国貿易・外国投資相が来日し、日本からの投資を呼びかけた[vi]

 

大学無償で優秀な労働者が豊富

キューバは教育にも力を入れており、全ての国民が幼稚園から大学まで無償で教育を受けることができる。識字率は99.7%、高校卒業程度に当たる後期高等教育就学率も98.5%と非常に高く、そのため優秀な労働人口が豊富なことも特徴的である。また、中南米諸国の医療先進国と位置付けられており、医療サービスの輸出などにも力を入れている[vii]

 

キューバとのビジネスを始めるには

キューバは市場としてはブラジルやメキシコ等と比較すると小規模ではあるが、中南米、欧州への物流拠点としての活用や、インフラ分野への日本企業からの投資に期待が寄せられている。キューバ政府は年に一度「投資機会ポートフォリオ」を発行し、有望な投資機会を公表している。2017~2018年の最新版はProCubaウェブサイトからダウンロードが可能だ。

UNIDO東京事務所では2016 年から3年連続でキューバの投資専門官を招聘している。

 

【出典】
[i] 外務省 キューバ共和国(Republic of Cuba)基礎データ 
[ii] 日本経済新聞オンライン版(2017年12月21日) 
[iii] JETRO「見本市レポート第34回ハバナ国際見本市」 
[iv] ZED MARIELウェブサイト 
[v] JETRO「調査レポート キューバの政治・経済の概況とビジネス機会(20174月)」 
[vi] 外務省 報道発表(2016年11月28日) 
[vii] 外務省「世界の学校を見てみよう キューバ共和国」世界銀行他

Photo by:neiljs, Jonathan Tellier, Pedro Szekely