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第2回 ISIDフォーラムで国際協力の新たなパートナーシップを提唱

第2回 ISIDフォーラムで国際協力の新たなパートナーシップを提唱

2014.11.10

第2回 ISIDフォーラム

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2014年11月4日、5日の2日間UNIDO本部があるウイーン国際センターにおいて、第2回ISIDフォーラムが開催されました。

開催概要15010881168_b27b36eca5_z

日 程:2014年11月4日(火)~5日(水)
会 場:ウイーン国際センター
主 催:UNIDO
参加者:92カ国より450名(各国の元首や大臣、二国間または多国間の開発パートナー機関の代表、
    国連機関、民間セクター、NGO、学界関係者など)

開催趣旨

ISID(Inclusive and Sustainable Industrial Development)は「包摂的で持続可能な産業開発」と翻訳し、包摂的とは社会の中で取り残される人がいないこと、持続可能とは地球環境を破壊しないことを意味します。2013年12月にリマでUNIDO加盟国によって「ISIDを促進する」ことがUNIDOの新しい目標として採択されました。2014年6月の第1回ISIDフォーラムではISIDの基本戦略についての話し合いが行われました。第2回となる今回はエチオピアとセネガルの2カ国をパイロットケースとして、被支援国政府、支援国政府、開発金融機関、開発機関、民間部門など幅広い関係者の間で、UNIDOが提唱する「国別パートナーシップ・プログラム」の協力モデルをどのように構築するべきか、より具体的な対話を行うことに力点を置き、一層幅広い関係者を巻き込んで2015年以降もISID取組みの規模を拡大して行くことを目的に開催されました。

UNIDO国別パートナーシップ・プログラム
当プログラムでは今後の産業開発支援のあり方として、開発機関や開発金融機関、支援国政府、被支援国政府、民間企業などあらゆる関係者が参加した協調体制を構築し、一国単位で総合的な産業開発方針を立て、協調して支援することを目指しています。UNIDOは協調のためのプラットフォームとして機能します。

プログラム

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潘基文国連事務総長

開会式    開会挨拶
セッション1 パートナーシップ方式によるISIDへの取組の試験的導入の概要
セッション2 ISIDのためのパートナーシップ:エチオピアのケース
セッション3 ISIDのためのパートナーシップ:セネガルのケース
セッション4 ISID全般:今後の進め方
       トピック1 官民パートナーシップでの信頼構築
       トピック2 パートナーシップのメリット──経済規模
閉会式    総括

開会式での挨拶

潘基文(バン・ギムン)国連事務総長: 

持続可能な産業開発が地球の未来にとって鍵となる
「包摂的で持続可能な産業開発」の推進は全ての政府、民間部門、金融機関が負うべき倫理的・政治的責任です。「持続可能な産業開発」こそは地球の未来にとって最も必要なものです。我々のビジョンは、地球上の資源が人々の幸福のために最適に分配されている公正な世界です。眼前の利益のために環境から搾取しない世界です。我々は未来の世代の為に環境を守らねばならないのです。(発言要旨)

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李勇UNIDO事務局長

李勇(リー・ヨン)UNIDO事務局長は、技術支援の成功のためには各国の発展を支える様々な力を結集することが必要であり、関係者間のパートナーシップを構築して産業開発のための投資を拡大するべきであることを訴えました。

ハイレマリアム・デサレン・エチオピア首相は、今回のパイロットプロジェクトは同国の発展にとって最適なタイミングであり、UNIDOの確かな技術協力の経験と専門性を活用したいと述べました。

ムハンマド・ディオンヌ・セネガル首相は、UNIDOの技術支援はプロフェッショナリズムと経験の豊富さで世界に高く評価されていると称えました。

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ハイレマリアム・エチオピア首相

その他には、欧州委員会、国連食糧農業機関、アフリカ連合委員会、OECD、UNCTAD、アフリカ・カリブ海・太平洋諸国の代表者が挨拶に立ちました。

UNIDO が今回エチオピアとセネガルで試験導入する「国別パートナーシップ・プログラム」の概要をフィリップ・ショルテスUNIDOプログラム開発・技術協力ディ ビジョン・マネージング・ディレクターが説明しました。また、エチオピアのアーメド・アブテュー産業大臣とメブラート・メレス産業担当国務大臣がプログラ ムへの期待を表明しました。
   

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ディオンヌ・セネガル首相

総括:フォーラムを終えて

李勇(リー・ヨン)事務局長は今回のフォーラムを通じてUNIDOが提唱する「国別パートナーシップ・プログラム」への手ごたえを感じたとして次のように総括しました。政府や国際機関だけでなく、民間部門からの参加者もUNIDOのプログラムに強い関心を示していました。一方で成功するための課題の指摘もありました。強いリーダーシップ、長期の投資を保障する確かな法的枠組み、国際決済通貨、技術のある人材などが必要なことです。

多様な開発関係者の力を結集する「国別パートナーシップ・プログラム」の実行は大きなチャレンジとなるでしょう。しかし我々は共に挑戦する準備ができています。UNIDOでは人材と財源を準備してこのプログラムの適用国を広げて行きたいと考えています。   

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フィリップ・ショルテス マネージング・ディレクター

フィリップ・ショルテスUNIDOプログラム開発・技術協力ディビジョン・マネージング・ディレクターが、2日間の議論を受けて新たなパートナーシップのポイントを次のように整理しました。
まず政府には国家戦略構築における主導的役割が求められ、法的枠組みや研究機関等のインフラ整備もまた必要です。民間部門には開発への積極的な参加が求められます。開発機関や金融機関などの開発パートナーには技術と財源を確保し、シナジーを生み、投資プロジェクトの実効性を確保し、リスクを軽減することが求められます。
「国別パートナーシップ・プログラム」が試験導入されるエチオピアとセネガルの2カ国については、必要な体制と技術、財源が用意されています。合意された枠組みを完成させるため様々なフィールドワークが企画され、能力開発活動や経過観察と評価のシステムが導入されます。2カ国での成果は後続の国々のために共有され評価されることになります。

   

新たなUNIDOアフリカ産業化親善大使を任命

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ハイ・ヘレンUNIDO親善大使

ISIDフォーラムで、チャイナ・アフリカ・コンサルティング社CEOのハイ・ヘレン氏がUNIDO親善大使に任命されました。「ハイ・ヘレン氏は経験豊富な事業家であり、開発分野の専門家です。アフリカ産業化親善大使として、彼女はUNIDOの中心テーマであるISIDを象徴することになります」と李事務局長は述べました。
ハイ・ヘレン氏(中国)はエチオピアで2年以上を過ごし、中国を代表する靴メーカー華堅の靴を生産する工場を現地に建設し、同国首相とも親交があります。

 

UNIDO本部のプレスリリースはこちら
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